04:「冗談だと言ってくれ」
「リザさん」
微笑むに、自分も自然と笑顔になる。
ニ歩の距離にいる相手に、自ら一歩近づいた。
「リザさん」
嬉しそうに笑うから、そのままつられる様に手を伸ばす。
頬に触れる途中での手に絡め取られた。
伝わる熱が喜びを加速させる。
組み合わせた指に愛しさと恋情が募る。
ゆっくりとした仕草で手を持ち上げられて、その指先に口付けられて。
くすぐったくて思わず笑った。
も笑って手を引き寄せる。
抱きしめられると嬉しくて、だから自分からも抱きしめた。
耳元に唇を寄せられて、一瞬後に髪留めを外される。
まとめていた長い髪が広がると、なんだか一気に素顔の自分を見つけられてしまった気がして。
恥ずかしくて、の肩口に顔を埋めた。
小さく笑う声が少しだけ恨めしくて、・・・・・・愛しくて。
「リザさん」
促すような手に逆らうことはしないで。
近づいてくる瞳に、そっと瞼を下ろした。
重なる唇は、優しくて―――――甘い。
「・・・・・・リザさん」
囁かれる声が、熱い。
微かな羞恥も、競り上がってくる期待を抑えることは出来ない。
応える様にの服に手をかけた。
脱がせると露になる素肌の胸に唇を寄せて、強く吸い上げて。
残った痕に満足しながら笑みを浮かべる。
今はこの、美しい少年を独占させて。
「・・・・・・くん」
照れたように戸惑っている相手を押し倒した。
見上げてくる眼差しがひどく愛しくて、可愛らしい。
本当に嬉しそうに、幸せそうに笑うから、自分自身も温かくなって。
銃を握るしか出来ない手が、こうして笑顔の力になるなんて。
「―――好きよ」
そう言って、リザはとても満たされた気持ちで口付けた。
ちゅんちゅんちゅん
キラキラキラ
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
リザの目に映るのは、少年の肌ではなく、いつもと同じ自室の天井。
おそるおそる左右に目を走らせれば、誰かがいる気配も無い。
確認してみれば、ちゃんと服も着ている。
身体に痛むところも無いし、とくに変わったところもない。
・・・・・・だからこそ、ものすごく困る。
だって彼は知り合いで。
確かに自分のことを好きだと言ってくれているけれど。
でも自分には今のところそういう気持ちはなくて。
彼をそういう対象として見たことも無くて。
あぁでもキスはしたことがあるけれども、あれもまぁ自然というか成り行きというか。
とにかく、つまり、えー・・・・・・・・・。
「・・・・・・冗談だと言って頂戴・・・」
今日はの顔を見れそうにない。
溜息をついて、リザはもう一度目を閉じるのだった。
2004年1月2日