098:肯定の言葉が欲しかっただけ





どうしよう。
日本刀が抜けなくなってしまった。



三上先輩、その手ぇ放してくれないかな。
真っ赤に染まってるよ。痛くないの?
痛いなら放せばいいのに。
そうすれば痛くなくなるよ?
息も絶え絶え。命もあと僅か。
穏やかに死にたくなぁい?
放してくれればすぐに終わらせてあげるのに。



「・・・ザケ・・・な、・・・・・・ァーカ・・・」
バカなのは先輩だよ。
いい加減にその手、放せばいいのにね。
そうすれば渋沢先輩みたいにすぐ殺してあげるのにな。



うん、でもまぁいいや。
どうせ三上先輩もあとちょっとで死んじゃうだろうし。
そうしたら日本刀を抜けばいいよね。
何なら手首を切り落としたっていいし。
うん、大丈夫。
これ以外にも武器は持ってるけど、日本刀は一番最初に支給された武器だから。
出来れば長く持っていたいんだよね。
何て言うか、記念に?
家には持って帰れないのかな。



三上先輩の血が溢れてスカートを染めていく。
色が鈍くなっちゃうのは嫌だけど、でも別にいいや。
この制服、ゲームが終わったらクリーニングに出さなくちゃだし。
リボンも使っちゃったから新しく買わなきゃだし。
そのためのお金って出してもらえるのかなぁ。
後で携帯かけて聞いてみよう。



「三上先輩。もう手ぇ放して下さいよ。そうしている必要ないでしょ?」
瞼をピクピクと痙攣させている先輩にそう聞いた。
あれ?ひょっとしてもう死んじゃってる?
じゃあ独り言になっちゃった。
ちょっと悲しいかも。やっぱり話し相手がいる方がいいよね。
探しに行こう。
だから三上先輩、その手ぇ放して?



あ、そうだ。藤代君にCD返してもらわなくちゃ。
すっかり忘れてた。
あれ、お気に入りの一枚だからちゃんと返してもらいたいんだよね。
・・・・・うん、決めた。



藤代君、どこにいるの?





2003年7月15日