081:王様
例えるのならばそれば、完全なる絶対王制。
実力で場を支配して。
負かせた相手は容赦なく断罪する。
才のある者にはそれなりの待遇を。
その他には、力量に見合った冷遇を。
言うことを聞かねば殺す。
それが嫌なら歯向かってみろ。
王が一刀にして首を刎ねてやる。
「昏君、だな」
柳の言葉にその場にいた真田は頷いた。
視線の先では二人の後輩が楽しそうに会話をしている。
全国区のテニス会場で、絶対的な力を持つジャージに身を包んで。
ラケットという名の武器を背中に背負い。
とても楽しそうに、笑顔で。
二人は会話をし続ける。
切原赤也と。
周囲の人間たちは、それとなく彼らに視線をやっていた。
チラチラッと向ける者から、あからさまに凝視する者まで、それはたくさん。
けれどそんなものを歯牙にも欠けず、二人は笑う。
完全に、無視をして。
相手にする必要もないと見下して。
二人は笑う。
周囲は胸中に複雑な思いを抱きつつも、気にしないではいられないのだ。
それだけの力が、この二人にはある。
他校の部員はおろか、自分達の学校の部員たちにさえも畏怖を抱かせて。
けれどそれすら関係ないような顔をして笑い続ける。
一度戦となれば完全なる支配者と化して。
絶対に逆らうことの許さない王国を築く。
生まれながらの王者。
国を興すにしろ滅ぼすにしろ、きっと彼らは無表情でそれをやってのけるのだろう。
それらすべて王の資質。
偉大なる支配者のために祝宴を。
それすらも王の戯れにしかならないのだから。
2003年9月20日