058:セックスと純潔





「・・・・・・裕太」
そう呼ぶの声に甘さを感じるようになったのは何時からだろうか。
――――――――――覚えて、ない。



唇を離してがゆっくりと笑う。
つややかに濡れている唇を光らせて、嫣然と。
こういう表情は女には出来ない。女よりも色めかしい、妖艶な顔。
男だからこその、極上の媚態。
「ふふ。やっぱ裕太のキス、好きだなぁ」
「・・・・・・・・・兄貴のほうが上手いだろ」
「周兄はどうでもいいよ。俺は裕太のキスが好きなんだから」
そう言って含み笑いをしながら俺の膝へと乗り上げる。
女みたいに華奢な身体は俺の腕の中へとすっぽり納まって、軽い体重はあまり気にならない。
細い指が俺の襟にかかって、ボタンを一つ外す。
寄せられる唇がくずぐったい。
身体が反応する。
ふわふわの髪からのぞいた白いうなじに唇を押し付けた。
が、ピクリと反応して。
軽く吸い上げれば紅い甘い痕が残る。
シャツの裾から手を差し入れた。



甘い声をあげて啼く
その身体をうっすらと紅く染めて。
今はただ、俺のために。



俺だけのために名を呼ぶ。



「・・・・・・・・ゆう、たぁ・・・・・・っ」
「――――――――――っ」



本当に甘い。
綺麗な



なまじ肌が白いから紅い痕はすごく目立つ。
けれどそれを惜しみなく晒してはニッコリと微笑んだ。
綺麗な笑み。それはまるで、今の行為などなかったかのように。
・・・・・・・・・いや、違う。
今の行為を、十分に受け入れたものとして。
そして、笑う。聖母のように、天使のように無垢な顔で。



「裕太が好きだよ」



どうしよもなく胸が軋んでをもう一度抱き寄せた。
その形のよい唇に噛み付いて、すべてを呑み込むようなキスを。
「・・・・・・・・・ゆぅ・・・・・・っ」
「――――――――――
言葉さえも遮って。
今はただ、俺のために。



俺だけの、ために。



どうか。





2003年8月13日