あちらとこちらは、一つのTV電話を介して繋がっている。
ちょっかいを出そう
「だーかーらー! 俺もそっちに連れてって下さいよ! ね、さん! 何でもしますからっ!」
「開口一番挨拶も無しにお願いだなんて、アスランさんとやらは君に一体どんな躾をしているのかな。こんにちは、シン君」
「俺はあんなハゲに躾なんか受けてません! こんにちは、さん! ステラは元気ですか!? 泣いたり苦しんだりお腹減らせたりしてませんか!?」
「ステラは今日も元気にヒヨコと人を行き来してるよ。毎日ご機嫌で相変わらず可愛い笑顔を見せてくれるし、ミーアの歌声に合わせてくるくる踊ってるし、好き嫌いもなく三食ちゃんと食べてるし、昨日はホグワーツの男子生徒に告白されたって言ってたし、今頃はスティングと一緒に日向でお昼寝でもしてるんじゃないかな」
「ここここここ告白っ!?」
「やーいいね、何て言うの? 自分の娘がプリンセスへの道を邁進してる気分って言うか? とにかく見ていて笑えるし面白いし刺激があって楽しいよ、私は」
「そ、それでステラは何てっ!? 何て答えたんですか!?」
「シン君、馬に蹴られてみる?」
「あーっ! やっぱり俺もそっち行きたい! レイもいるんでしょっ!? 俺も行ーきーたーいーっ!」
「っていうかシン君、君は確か新しい彼女がいなかったっけ? だったら早く彼女と幸せになりなよ。こっちで引き受けるのは、そっちの世界で三途の川を八割渡りかけた人だけだしね」
「じゃあ俺も渡る!」
「イエス・キリストは仰られたよ。自ら命を断つことは許し難い行為だと」
「動物にでも何でもなりますからー! だから頼みますよ、さーん!」
「新カノを放って元カノばっか気にするような男はいりません。そんなことばっか言ってると、むしろ新カノさんをこっちに呼び寄せちゃうよ?」
「何でルナ!?」
「あ、ステラが呼んでる。何々? また別の男子生徒に告白されたって? いやーステラといいミーアといい、私のペットたちは大人気だねぇ」
「ステラーステラーっ! ステラステラステラステラーっ!」
「じゃあね、シン君。ルナさんとやらによろしく」
「ちょっと待って、さ」
ブチッと切られた電源ボタン。
彼らは今日も今日とて何度目になるかも判らない、同じ遣り取りを繰り返したのだった。
たぶんシンにとってステラは妹、ルナは結局親友かと。
2006年3月11日