奴を語るティータイム2
「俺には、同じ年の従兄弟がいてね」
誰が見ても百人中百人が優雅だと答える動作で、まるで絵画から抜け出した美男子そのままの仕草を保ち、はフォークをチョコレートケーキへと突き立てた。
一口頬張り、静に飲み込む様は同性の千石から見ても美しくて堪らない。という人間は鑑賞されるために産み出されたのだと言っても過言ではないと彼は思っていた。しかもこの芸術品は話し動くことによって更なる美しさを作り出すのだ。
「これがまた似なくていい所が良く似ていて、似ていい所が全然似てないんだ。あいつは外見は美少女だしね。三秒経てばすぐに違うと判るけど」
「へぇ、とは違うね」
「容姿は、ね。何度カップルに間違えられたことか」
肩を竦めるは、確かに美しいけれど女性には決して見えない。男らしいという雰囲気ではないのに、彼は彼でしかないと見ている者に思わせるのだ。
話し方一つとっても、歩き出す一歩であっても、それらすべてが以外にありえないことを知らしめる。
「そいつは今、何してんの?」
「さぁ? マフィアのドンになった所までは聞いたけど、今はイタリアの三分の一くらいは掌握してるかもしれないな。あの行動の速さは誰に似たんだか」
まぁ、間違いなく父さんというよりはお祖母様似だろうけれど。
はそう呟き、食べ終わった皿に静かな動作でフォークを下ろす。
「俺が権力を好むのに対して、あいつは暴力を好むんだ。一言お願いすれば済むことでも、殴りつけて屈服させてから言うことを聞かせようとする。気に入るのは反抗的な目をする相手で、基本的にはサドだね。世界には敵と下僕しかいないと思ってるような奴だ」
きっとその従兄弟を思い出しているのだろう。の顔は穏やかで、眼鏡のレンズ越しの眼は限りない楽しさを浮かべている。
そんな彼を珍しい思いで千石は眺めた。どうやらこの覇者様は、その従兄弟とやらをずいぶんと認めているらしい。
同じ立場の統治者たちとはまた違う、対等の相手として。
「だからこそマフィアは、あいつに合ってると思うよ。暴力的な面ばかりが目立つけど、あれで中々に頭もいい奴だからね」
「に似て?」
「あぁ、そうだな」
くすりと笑い、千石によって差し出された紅茶を受け取り、は笑う。
「何だかんだ言っても、俺とあいつはとても良く似てるんだろうな」
戸籍上の苗字は、二人とも笛ポタ主人公と一緒です。
2006年3月29日