袖触り合うも多生の縁





数々のゲーム機が並んでいる中で、は迷わずに一台の機械へと歩み寄る。
ペラッと中を覗いて確認すると、大音量に耳を押さえている連れを振り返って手招きした。
「ハリー、ハリー! こっち!」
呼ばれるままに近づいてきたハリーは、初めて見る機械を目の前に首をかしげて。
、これは何?」
「これはプリクラって言って、日本のオモチャ業界が発明した女子高生の必須アイテム」
「・・・・・・・・・?」
さらに首をかしげてしまったハリーをプリクラ機械へと押しやりながらは笑う。
「お金を入れて写真を撮ると、それがシールになって出てくんの」
「シールになって?」
「そ。まぁマグルの写真だから魔法界みたいに動きはしないけどね。でもハリーはマグル出身だしこういうのもいいかなっと思ってさ」
「ぷりくら、かぁ」
「正式名称はプリント倶楽部、だったはず」
そんなことを言い合いながら、まだまだ少年の部類に属する二人は嬉々としてフレームを選びだした。



が割合と混み合うことの無いゲームセンターを選んだからなのか、普通は順番待ちになるプリクラもそんなことはなく、二人は思う存分楽しそうに満喫して。
「ねぇ。ここにあるボードにシールを貼ってもいいの?」
ハリーが指さした先にあったのは、撮ったばかりのシールを好き勝手に貼っても良いとされているホワイトボードだった。
ペタペタと乱雑に貼り付けられているシールは友達同士も多いけれど、やっぱり一番多いのはカップルで撮ったもので。
「日本の恋人たちは自分たちのプリクラを携帯に貼るんだって」
「別れたらどうするの?」
「不吉なこと言うなーハリーは」
言葉とは裏腹に楽しそうに笑っては答える。
「一般的に男はシールを剥がして電池の蓋の裏とか見えないところに貼る。女の子はシールを剥がして捨てて、男のメモリーも消して、最高の場合は携帯ごと変えて番号もメルアドも変更」
「・・・・・・日本の女の子ってスゴイんだね」
誇張されたの言葉にハリーは呆気にとられたように呟いた。
そして今撮ったばかりのシールを、ホワイトボードにペタリ。
『ハリー&』と書かれた金色の文字が輝いて見えて。
「帰ったらマルフォイに自慢しようっと」
ハリーが楽しそうに笑うのにも目を細めて笑った。
その顔がかつての彼を思い出させて、胸を切なくさせたけれど。



思い出の写真。
日本のどこかの街のゲームセンターで。
パシャリ。



「プリクラの他にもいろんなゲームがあるんだね」
大音量の効果音にも慣れたのか、ハリーが珍しそうに周囲を見回しながら言う。
「日本のゲームは最先端だし? まぁ俺はほとんどやったことないんだけど」
「カーレースとかもあるんだ」
ちょうどレース中の画面を後ろから覗き込んで、ハリーとが足を止める。
見ると赤いレースカーが前を走る青い車にアタックしてコースから弾き出したところだった。
「―――おいテメェ! 卑怯な手ぇ使ってんじゃねーよ!」
「仁がノロノロ走ってるのが悪いんでしょ? そんなんじゃ潰して下さいって言ってるようなものじゃない」
「・・・・・・いい度胸だ! 後で吠え面かくんじゃねーぞ!」
「じゃあこのレースで私が勝ったら、今度太一君をお持ち帰りするの邪魔しないでね」
そう言ってまた、赤い車が青い車をはね飛ばす。
「〜〜〜〜〜〜!!」
外見的にはものすごく怖そうな男が悔しそうに舌打ちして、外見的に容姿の整っている女の子が反則万歳な手を使って。
ハリーとは沈黙しながらその場から静かに立ち去った。



「・・・・・・・・・日本の女の子ってスゴイんだね」
呟いたハリーには困ったように笑うのだった。





誰かの願いが叶うころ→世界中の愛を、君に→?