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6が二つに5が一つ
出来上がるものはなーんだ?
「あのね、あのね、とくがわさん」
小さな子供、大きすぎるラケットを抱きしめて
雰囲気から判断して検討をつける
双子のうち、バランスの取れた子供の方だと
子供は大人を見上げてその小さな口を開く
「あのね、さっきおれ、ゲームをしたの。
あいてはね、なんかまえにおれとやってまけたひとみたいで。
どうしてもっていうから、やったの。
なのにそのひと、ゲームがおわったらおこったんだよ」
「おれのね、テニスがひどいんだって。
どうしてこんなテニスをするんだって。
なきながらいうの。
おれのテニスはざんこくだっていうんだよ」
「ざんこくってなぁに?
おれ、なにかひどいことしたの?
おれ、ふつうにテニスしただけだよ。
それがいけなかったのかな。
おれのテニス、だめなのかな」
「わかんないよ。
おれとゲームしたひと、みんななくんだ。
おれ、なにもわるいことしてないのに。
テニス、ふつうにしてるだけなのに。
でもみんななくんだよ」
「かあさんがね、かなしそうなかおするの。
とうさんもね、ゲームがおわるといつもおれのことだきしめるんだよ。
おれはまけてないのに、『だいじょうぶか』ってきくんだよ。
へんだよね。
なんでなんだろう」
「とくがわさん、しってる?」
「!」
後ろから呼ばれた声に子供は振り向いた
走ってくるそっくりの存在に笑顔を向けて
「リョーマ」
「コート、あいたよ。おれとテニスしよ」
「うん、わかった」
手を繋いで、楽しそうに笑って
同じ顔で幸せそうに笑って
「とくがわさん、またね」
子供達は走ってゆく
大人の目に浮かんだ涙には気づかずに
無意識の内に出来上がっってしまった
自覚のない悪魔
それでも天使でもあるのだから
徳川は人知れず涙をこぼした
この先にある、子供の未来を思って
6が二つに5が一つ
出来上がるものはなーんだ?
2002年12月8日