041:デリカテッセン
(こんにちは。青学新聞部の者です。インタビューをお願いしたいのですが)
「インタビュー? 何それ」
(毎年有望な一年生に行っているんです。今年はテニス部でも有名なお二人にと思いまして)
「ふーん。俺は別に受けてもええけえど」
「俺はヤダ。何でタダで他人に情報を与えなきゃいけないわけ?」
「それもそやな。せやけど俺らが断ってしもたら、この人たちが可哀想やん」
(コクコク)
「購買で売ってる抹茶アイス。もちろんハーゲンダッツね。それ以外は譲らないから」
「ほな俺はフレンチバニラコーヒーやな。アレのどこがフレンチなんか一回試してみたかったんや」
(・・・・・・・・・行ってきます)
5分後。
(第一問、 青学の第一印象を教えて下さい)
「んーせやな、何やめっちゃ広い学校やなって思うたわ」(アイスの蓋を開けながら)
「アメリカではこれくらい普通だったけど。廊下が狭いって思ったね」(プラスティックのスプーンをくわえながら)
「あ、リョーマは帰国子女やったっけ。ええなぁ、アメリカ。一度行ってみたいわ」
「今度一緒に行く? 全日本の遠征やジュニア大会で」
「うーわぁ。ちょっと先のことになりそうやなぁ」
「そんなこともないんじゃない」
(第二問、 青学テニス部に入ってどうですか?)
「どうって何が?」(黙々とアイスを食べている)
(感想とか、思っていたのと違ったところとか)
「変な先輩が多すぎ」
「ハッキリ言うたな、リョーマ。せやけどそれはホンマにそう思うわ」(同じくアイスを食べている)
「テニスの腕前に比例して性格も変になってるんじゃないの」
「ほな一番は部長さんやん。あの人も苦労しとるんやからちょっとは気遣ってあげんと可哀想やで?」
「まだ序の口でしょ。これくらいで苦労してるんじゃ先が思いやられるね」
「そやな。俺らもまだまだ迷惑かけるやろうしな」
(第三問、 先輩方について一言どうぞ)
「先輩って部活の? レギュラーだけでええの?」(フレンチバニラコーヒー、もうすぐ半分)
(はい)
「ほなトップバッターは部長さんやな。あの人はホンマにスゴイと思うで。何たってテニスがめちゃウマやし」
「15歳に見えないところもスゴイよね。あの眉間のシワとかいつか彫刻になるんじゃないの」(抹茶アイス、もう半分)
「大石副部長はええ人やん。実は腹黒って噂もあるけど、アレはどうなんやろなぁ」
「いい人が実は一番悪い人でした、っていうのはミステリーの定番だしね」
「あ、リョーマ昨日の火サス見たやろ? アレもその典型的パターンやったな」
「旅行先で知り合った親切な男の人なんて怪しすぎるにもほどがあるじゃん。ワンパターンすぎ」
「ヒロインが新聞記者っていうのもお決まりやし、それで言うなら二流やったな」
(・・・・・・・・・あの、すいません。質問の答えを・・・)
「あ、すんません。えっと何やっけ? 先輩についてやったっけ?」
「不二先輩はアレだよね、味覚が変」
「変っちゅう言葉じゃ表せられへんやろ。あの赤と緑に染まった弁当箱を見たときは流石の俺でも引いたで」
「わさびとか唐辛子とか、よく普通な顔して食べられるよね」
「何やろなぁ。やっぱり味覚も天才的なんかな」
「菊丸先輩は年上に見えないし」
「行動やろ、ソレ。菊丸先輩は末っ子やからそうなんとちゃう?」
「も末っ子じゃん」
「俺の場合は事情がちゃうやろ。菊丸先輩は5人兄弟の一番下やし、自然とそうなってしまうんやないの?」
「要はお子様ってこと? それはどうでもいいけど、乾先輩のデータはどうにかして欲しいよね」
「あのノートにはえっらいプライベートなことまで書かれてるみたいやし。一度チェックせんとあかんわ」
「河村先輩のお寿司は美味しかった」
「リョーマ和食好きやしな。河村先輩は普通とバーニングの差が激しすぎるかもしれへんけど、親切な人やし」
「桃先輩は便利だよね」
「リョーマ! 公衆の場でそないなことを言ったらあかん! 思うとっても心の中に閉まっとき!」
「だってそうじゃん」
「それ言うたらもう送り迎えしてくれへんようになるかもやろ。円満な人間関係のコツは『見ざる言わざる聞かざる』やで?」
「猿じゃん、ソレ。でも海堂先輩はそんな感じだよね」
「クールさが売りってやつ?」
「愛想のないのが売りなんじゃないの?」
「せやから思うても言ったらあかんって」
「だってそうじゃん」
(第四問、 好みのタイプを教えて下さい)
「それって女でってこと?」(半分になった抹茶アイスをの手に渡す)
「男で言われたらどないしよー。困るわぁ、俺」(半分になったフレンチバニラコーヒーをリョーマの手に渡す)
「女でって言われても別にどんなでもいいし。好きになった相手が好みのタイプなんじゃないの」(黙々とフレンチバニラコーヒーを食べる)
「お、言うやないかリョーマ。俺も基本的には同じやな。せやけど料理上手の子はポイント高いで」(黙々と抹茶を食べる)
「、料理めちゃくちゃ上手いじゃん。必要ないんじゃない?」
「いやいや、大好きな彼女に手作り弁当もろうて『はい、アーン』っていうのは男のロマンやろ」
「はい、アーン」(フレンチバニラコーヒーを一口)
「(パク・モグモグ)これってどこがフレンチなんやろな」
「原材料がフランス産とかだったらムカツク」
「抹茶も結構イケるわ。はいリョーマ、アーン」(抹茶を一口)
「(パク・モグモグ)」
(・・・・・・・・・仲良しなんですね・・・)
「「そう?」」
(・・・・・・無意識かよ・・・・・・・・・)
そう言いつつシャッターを切る音が響く。
(第五問、お互いについて一言)
「試合しようよ」(空になったフレンチバニラコーヒーをゴミ箱へナイスシュート)
「イキナリそれなん? リョーマ」(空になった抹茶をゴミ箱へナイスシュート)
「だって何だかんだいってと試合したことないし。ランキング戦でも同じブロックにはならないし。部長、わざと仕組んでるんじゃないの」
「仕組んでるやろなぁ。でもこの前組んだダブルスが上手くいったし、しばらくは試合出来へんのとちゃう?」
「じゃあうちのコートでやろうよ。親父に審判やらせるから」
「実の父親を顎で使うんか。せやけど俺とリョーマが対戦したら一時間や二時間じゃ終わらへんやろ」
「じゃあ泊りがけで朝からやればいいし」
「低血圧のリョーマに朝は無理やろ。俺かて一日ぶっ通しでテニスは出来へんって」
「、俺と試合したくないわけ?」
「したくないわけやないけど、疲れることはしとうないわ。味方同士で潰し合いも何やし」
「疲れるから面白いんだよ。ま、いいけどね。いずれ必ず試合を組むから」
「・・・・・・何や、えらい自信やん」
「だって後二年も経てば俺かが部長になるんだし。そのときはきっと実力でどっちが上なのか確かめなくちゃいけないしね。戦わざるをえないでしょ」
「俺が部長になったらリョーマとは永遠に別ブロックやな」
「俺が部長になったらとは毎回同じブロックだよ」
「いややわぁ、そんなん」
「さっさと諦めて大人しく試合することだね」
(・・・・・・・・・質問内容と微妙に違う・・・・・・)
(最後に、今後の目標を)
「とりあえず部長を負かす。その後に不二先輩と、不動峰の橘と、氷帝の跡部を倒す」
「めっちゃ物騒な目標やな。俺は小さくレギュラーになるってとこにしとくわ」
「レギュラーなんてならすぐに取れるじゃん」
「いや、何か俺ランキング戦運があんま良うないんやな。せやからあくまで目標としてや」
「部長が虐めて楽しんでんじゃないの」
「サドなん? うちの部長さん」
「何でもありの部活だよね、ホント」
「俺はマゾやないからその括りには入らへんで」
「俺も入らないよ」
「嘘つきリョーマ」
「に言われたくないし」
「俺かてリョーマに言われとうないわ」
「じゃあ勝負する?」
「せやから試合はせんって」
「ちぇ。相変わらず頑固なんだから」
「リョーマに言われとうないわ」
「だからに言われたくないし」
(・・・・・・・・・ありがとうございました。来月の校内新聞をお楽しみに)
2002年12月16日