10:陽または君は僕の輝ける星
今でもあの日々を思い出す。
共にいることの出来た、忘れられない季節を思い出す。
「Game much! Won by Ryoma Echizen!」
審判が高々と宣言した。
会場が一瞬静まり、そして爆発的な歓声に包まれる。
紙吹雪と口笛、そして叫ばれる名前。
すべてを一身に受ける中で、リョーマは大きく息を吐いて帽子をとった。
大粒の汗がその拍子に煌めいて輝く。
もう一度大きく息をついて、そしてネットの向こう側にいる相手に歩み寄った。
「・・・・・・Congratulations」
握手と共に言われ、Thanksと笑って返す。
次いで審判とも握手を交わし、リョーマはコートを振り返った。
そして大観衆に向かって高らかにラケットを持った左腕を掲げてみせる。
再度、歓声が響き渡った。
越前リョーマ、19歳。
新たな全米チャンピオンが誕生した。
今でもあの日々を思い出す。
共にいることの出来た、忘れられない季節を思い出す。
君は僕の、輝ける星。
2004年9月16日