殿方は好意がお好き
「白石先輩は美人やけどドジなとこが可愛えし、謙也さんは時々うるさすぎやけどノリは性に合うし、金太郎はずっと一緒やったから隣におって違和感ないし、千歳先輩は言動がアレやけど嫌いになれる男がおると思います? ユウジ先輩はツンデレでも料理の腕は最高っすわ」
「・・・そんで、結局誰が好きなんや?」
「そんなの決まっとります」
にや、と唇を吊り上げて、財前はクールに笑う。
「俺、まだ十四歳やし? ひとりの女に縛られる気は更々ないんすわ」
あ、せやけど師範と小春先輩も結構好きやで。それとテニス部顧問のオサムちゃんもええと思います。
爽やかに欲望を曝け出した財前に、銀は思わず深い溜息を吐き出してしまった。おおきに、と答える以外に一体何が言えただろう。同じ女子テニス部の仲間たちを脳裏に描き、彼女らの恋路の前途多難さに嘆きたくなる。だって、財前はこんなにも格好良く、そして意地悪く笑うのだ。振り回される少女たちが容易に想像出来て、銀は気の毒になってしまった。
可愛え女はみんな好きですよ、と財前はあっさり告げたのだった。
ここまで来たらオサムちゃんも女性でお願いしまっす!
2011年1月29日