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20.ユーシとガクトと始業式
「・・・なぁ、ユーシ」
「皆まで言わんでや、ガクト」
「二年に来た転入生。あれってさぁ」
「・・・日吉にそっくりやんなぁ」
「中身もそれっぽくね? 武道習ってるって噂だぜ?」
「どうりで周囲の視線が痛いわけや・・・。ガクト、春コミは赤二ティのコスプレで決まりやないか?」
「残念、春コミはコスプレ禁止なんだよ。あー良かった!」
教室の窓から階下を見下ろせば、周囲の視線を集めまくっているキノコ頭が見える。髪の色までそっくりやな、と自分のことを棚に上げてユーシが考えていると、ぱっと日吉若のそっくりさんが顔を上げた。次の瞬間ぎょっとしている。それはそうだろう。こちらには忍足侑士と向日岳人のそっくりさんがふたり並んでいるのだから。きっと日吉(仮)は今まで、自分以外のテニプリキャラそっくりさんには会ったことがなかったに違いない。だとしたら、あれはもはや同類だ。にやっとガクトが笑う。あたかも向日岳人にそっくりの意地悪な顔で。
「おーい、ひよっこー! 俺のことは『向日さん』って呼んでみそ!」
俺の名字は向日じゃねーけどな! 窓から身を乗り出して叫び、ガクトが手を振る。日吉(仮)は更に面喰っていたが、周囲の女子は歓声を上げたり、男子は笑ったりしているから反応は上々だ。ガクトの姉ちゃんが見たら喜ぶやろうなぁ、とユーシは思う。しかしサークルチケットは基本的に三枚なので、三人でコスプレするとなると一枚足りない。今度俺らが参加するときは一般参加になるんか? 夏のあの灼熱の中、開場まで並ぶのは嫌やなぁ。そんなことまで考えてしまったユーシは、この年末年始で間違いなく新たな扉を開けてしまったのだった。
これにて完結。最後までお付き合いくださりありがとうございました!
2011年1月9日