鉄板インタビュー
「あー? テニス部の取材? まぁ構へんけど。小春も生徒会でおらんしな。あ? 小春がおったらおまえらなんぞに貴重な時間を費やすわけあるかいボケ。ラブラブランチタイムや。ラブラブな、ラブラブ。ここ赤ペンでライン引いとけ、ええな? ・・・そんで、何なん。レギュラーにインタビュー? 全国大会に向けての意気込み? そんなん白石に聞いとけばええやろ。こないな面倒なもんは部長の仕事やないか。そのための白石、ちゃうわ、そのための部長やろ。本音駄々漏れ? 阿呆、漏らしとんのや。これに懲りたらもう俺にインタビューなんかしに来るんやないで。漫才関係と小春と一緒のとき以外はお断りや。ノーセンキューや。ええな、分かったか? ・・・まぁええわ、今回くらいは付き合うてやっても。そんで何なん? この台詞さっきも言うたな。リピートなんや漫才の基本過ぎて泣けてくるわ。基本は大事やけどな、白石やないけど。・・・あ? テニス部で一番格好ええ奴? そんなん小春に決まっとるやろ! 聞くだけ無駄や、このボケ! テニス部だけやない、四天宝寺で、否! 世界中で一番格好ええのは小春に決まっとるやろ! あかん、格好ええっちゅー言葉だけじゃ表現しきれん! 小春は格好良くて可愛くて綺麗で美しくて男前で愛らしくて儚くて神秘的で厳かで輝いていて
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スーパーに並んどる死んだ魚みたいな目にチョコパイのパッケージ開いてふわっと香った甘い匂いみたいなああああああもうどんだけ語っても語り尽くせるわけないやろ! とにかく! この世のすべての賛辞は小春のためにある! この世の頂点は小春や! それ以外にない! ・・・あ? すんません? いきなり何言うとんのや。しっかり話さんかい、漫才の基本やで。・・・小春以外で格好ええ奴? テニス部で? ハンッ! 小春のおらんテニス部なんかどんぐりの背比べみたいなもんやろ。あかん、それはどんぐりに失礼や。あいつらと比べたらどんぐりもどんぐり様に早変わりっちゅう話や。どや? 今の謙也にそっくりやったやろ? モノマネ王子を舐めたらあかんで。会話の中でも予備動作なしにモノマネ出来るっちゅう話や。・・・あ? せやったら格好ええのが謙也かって? 阿呆、それとこれとは話がちゃうわ。顔だけやったら間違いなく白石やな。ダントツや。まぁ美醜っちゅうのは人の好みやし万人のオッケーは出ぇへんやろうけど、投票やったら一番票を集めるのは白石やろ。俺の好みやないけどな。あいつも中身は残念なイケメンやし。・・・ああ? どこが残念? そんなん寝るときは裸っちゅう時点でアウトやろ。夜中にトイレに起きたとこに遭遇してみ、股間に蹴りぶっ放すで、絶対。いくら顔が良くて勉強が出来てテニスが上手くても白石は残念やな、残念過ぎる。他にも色々あるで? 例えばマクドでアップルパイをバーベキューソースに
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逆立ちして指突っ込んで、あの決め台詞『んーっ、エクスタシー!』とか言うたときは本気でドン引きしたわ。・・・何で今の物真似せぇへんのかって? そりゃモノマネ王子っちゅう俺でもやりたない物真似もあるわ。当然やろ。っちゅうわけで、顔だけなら白石や。顔だけならな。ここ蛍光ペンでライン引いとき、テストに出るで。・・・謙也はどうかって? ああ、あいつはヘタレやろ。彼氏にしたら大変やで? ・・・ははっ! おまえ分かりやす過ぎやな! まぁ、この学校の女は白石か謙也のどっちかが好みっちゅう奴ばっかやからな。あいつらのどこがええのか俺にはさっぱり分からへんけど。どう考えたって小春の方がええやんなぁ。謙也も性格は悪うないし、顔もそこそこやけど、そこで押さんかいっちゅうところで引くからな。阿呆や、阿呆。据え膳食わへんのは男の恥やで。せやけど白石ほど残念やないし、優しいっちゅうか甘いから好きになる女は多いんやないか? 母性本能くすぐられたりしてな。まぁ俺の好みやないけど。性格やったら断然小石川か銀やな。・・・あ? 地味やと? おまえ何ぬかしとんのや、しばくぞわれ。・・・そうや、ええ子やな、黙っとき。女には分からへんのや、あのふたりの渋さっちゅうか器っちゅうか地味さっちゅうか頼りがいのあるとこがな。・・・地味? 誰が言うた、そんなん。彼氏にするんやったらまず間違いなくあのふたりがおすすめやで。真面目で誠実やしお年寄りの受けもええ。小石川は影が薄くて、銀は仏像に間違われるんが玉に瑕やけどな。見る目のある女なら間違いなくあいつらを選ぶやろ。まぁ中学生なんや外見で恋(笑)に落ちたりする年頃やしな、しゃーないわ。せやけど十年後になったら見てみ? 間違いなくあいつらモテモテやで。白石がイケメン過ぎて嫁ぎ送れるタイプやとしたら、小石川と銀はめっちゃ出来た嫁さん貰うて幸せ円満の家庭を築くタイプやな。・・・白石にきつ過ぎやないかって? 阿呆、そないなわけあるか。通常運転やボケ。別に昨日白石が小春に抱きつかれてたのが羨ましいとか嫉ましいとかそないなことあらへんし。あらへんし。あら、へん、し・・・。・・・ぐすっ。こは、こはっ、こは、こはるうううううううううううううう!
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けっ! 白石なんか駅前で女に囲まれまくってそのままラブホにでも連れ込まれればええんや、あのリア充め。俺の小春に手を出そうなんざ一万年と二千年早いんじゃ。・・・せやな、千歳も顔だけタイプやな。っちゅーか、あいつは身長が高すぎて逆にあかんやろ。百九十四やで? 普通の女でも三十センチ定規ひとつ分違うし、ほんま巨神兵や。そう言うたらあいつ、目ぇキラキラさせて喜んどったけどな。天空の城から落ちてきたロボットと勘違いしとるで、絶対。巨神兵は『腐ってやがる、早すぎたんだ・・・!』の方やっちゅうのに。・・・おっ、やっぱ似とったやろ? ふふん、俺に出来へんモノマネなんかないっちゅう話や! 千歳はふらふらどこでも行きよるし、糸の切れた凧やな。・・・性格? マイペース過ぎやけど悪うはないやろ。元ヤンやけどな。元ヤンやけどな。元ヤンやけどな。大事なことやから三回言うたで。元ヤンやけどな。四回目や。後はー・・・誰がおった? ・・・ん、ああ金太郎か。あいつはあれやろ、野生児や。せやけどあいつが一番化けるで。この一氏ユウジ様が言うんや、間違いないわ。あと二年経ったらそりゃあええ男になるやろ。あいつ手も足もでかいからなぁ、身長も伸びるやろうし、千歳くらいでかくなったりしてな。声も低うなって、男の色気もめっちゃ出てきて、それでもあいつの中身は変わらへんやろうから相変わらず無邪気で・・・って。・・・・・・何やそれ最強やないか! めっちゃ小春の好みや! あかんあかんあかん! こないなところに敵がおったとは一氏ユウジ一生の不覚! 今からでも遅うない、金太郎の身長を縮めたる! あいつは一生百五十一センチでおればええんや! 四角い箱に入れたスイカのごとく育てたる! はっ・・・! それやったら俺も青学のオモシロか海堂の型に入ってればあいつらの形になれるんか!? そうなったら小春にもモテモテやんか・・・!? い、いいい今すぐ準備や! 今すぐ、今すっ
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昼休みも終わるし、もうええやろ。レギュラー全員語ったしな。・・・ああ? 財前がまだ? 影がうっすいから忘れとったわあのクソガキ! あいつ昨日も小春とイチャコライチャコラしとって・・・羨ましいっちゅーねん! あんな口の悪い生意気なガキのどこがええねん! あいつの良さなんか顔とクールなとこだけやろ! ああああああああ小春! な、何で財前なんや! 何で財前なんやー! 俺じゃあかんのか!? 小春が財前にばっか抱きつくから、この前はわざわざ財前の物真似までしたんやで!? クールに決める男前の振りしてアプローチしたんやけど、したんやけど、したんやけど、確かに小春も喜んではくれたけどなぁ・・・! そんなの俺やない! 俺やないんや! 小春ー! 頼むから素の俺を好きになってや! そのためやったらどないな努力もする、せやから小春、こは、こはるうううううううううう
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ほな、インタビューはこれで終いやな。・・・ん? 五時間目が始まるのにどこ行くんかって? 阿呆、そないなこと聞くもんやないで。ちーっとばかしトイレに行くだけや。せや、トイレや。ついでに金太郎と財前がおらんのやけどって教師が聞きに来たら『知らん』っちゅうとけや。ええな? ほなな。・・・・・・・いてこましたるでガキどもおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおお!」
一分後、二年生のとある教室から物凄い騒音が聞こえたとさ。まる。。
2011年11月11日