想いのタケ
「不二、先輩」
普段の彼からはあまり聞くことの出来ない、弾んだ声。
「どうしたの? リョーマ君」
自然と恋人モードに入ってしまうのも仕方がないかもしれない。
「先輩、俺のこと好き?」
零れ落ちそうなほど大きな瞳で見上げられて。
否定できる男がいたら会ってみたい。
「好きだよ。大好き。言葉だけじゃ足りないくらい好きだよ」
「ふぅん?」
楽しそうに、嬉しそうに笑う君を見て、もっと愛しいという気持ちが溢れ出てくる。
「俺がいないと死んじゃう?」
「死んじゃうよ。リョーマ君がいなくちゃ、生きてる意味なんてない」
「そんなに好きなの?俺のこと」
不思議そうに聞くから頷いて見せた。
あぁ本当に、言葉でなんて表せられない。
君がいなきゃ意味がない。
君に逢うまでの十四年間、一体何をして過ごしてきたんだろう。
何に笑って、何に怒って、何に泣いてきたんだろう。
思い出せない。
それくらいちっぽけなものになってしまった。
今ここにいる君が大きすぎて。
「・・・・・・・・・愛してるよ」
胸が痛くて、張り裂けそうで、言ったら少しは楽になれるかと思ったけれど、どうやら無理みたい。
言葉にした分だけ、君への想いが深まったみたい。
それでも言わずにはいられない。
あぁ僕は。
一体どこまで君を好きになるんだろう。
「俺も、不二先輩のこと好きだよ」
彼はそう言って鮮やかに笑った。
これだから君は。
これだから僕は。
ますます君を好きになる。
とめどなく、終わりがない、これを永遠って言うのかな?
とにかく君を。
君だけを。
僕は君だけを愛してる。
2002年8月7日