good romance
「あ、そこの一年生君。丁度いいや。ケータイ番号教えて」
「・・・・・・・・・・・・何で」
「そんなの俺が君を好きだからに決まってるじゃん。ただでさえお互い部活で忙しいのに、東京と神奈川で離れてるし。電話で声くらい聞きたいと思うのは普通だろ?」
「・・・・・・・・・・・・俺、ケータイ持ってないし」
「そうなの?じゃあ家電でいいよ」
「・・・・・・・・・つーか何でアンタに教えなくちゃいけないわけ?」
「だからさっきも言ったじゃん。俺は君のことが好きなんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「こんなこと言うと遠距離恋愛してる人たちに怒られそうだけどさ、東京と神奈川って俺にとっては日本とアメリカ以上に離れてる感じだし。会えないならせめて声だけでも聞きたいって思うんだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「君はどう?そう思わない?」
「・・・・・・・・・・・・・・・俺は別に、アンタのことなんて好きじゃないし」」
「ふぅん、そう?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・会いたい時に会えない恋人なんて、いない方がマシだし」
「じゃあ会いに行く。君が俺に会いたくなったらすぐ呼んで?授業中でも試合の最中でもすぐに行くから」
「・・・・・・・・・・・・・・・試合中に呼ぶわけないじゃん」
「そう?俺は君になら呼ばれてもいいけど」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・それだけ?」
「え?」
「俺が会いたくなったらアンタが来てくれるんでしょ?それだけ?」
「・・・・・・・・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・??」
「・・・・・・・・・俺はッ・・・・・・・・・・・・アンタが俺に会いたくなっても、俺は会いに行ってなんかやらないからね!」
「!」
「アンタが俺に会いたいなら、アンタが会いに来ればいいんだから!・・・・・・・・・俺のこと好きならそれぐらい出来るよね?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「出来ないならいいよ。俺のために尽くしてくれる人は他にもたくさんいるし」
「・・・・・・・・・・・・・・君って子は全く・・・・・・・・・」
「何、そのため息」
「いやいや、本当に王子様だなぁと思って」
「・・・・・・・・・バカ?」
「バカじゃないって。君への思いを再確認してただけだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「会いに行く。君が俺に会いたい時も、俺が君に会いたい時も、必ず俺が会いに行くよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「越前リョーマ君。君が好きです。俺と付き合って下さい」
「・・・・・・・・・・・・・・・会いに来なかったら許さないから」
「大丈夫。絶対会いに行くから」
「・・・・・・・・・それならいいよ。付き合ってあげても」
「うっわ、高飛車な言い方。『赤也、好きだよ』くらい言えないの?」
「言うわけないじゃん。そんなこと」
「ま、いいけどね。これで君の隣は俺の居場所になったわけだし」
「・・・・・・・・・・・・・・・ボケッとしてて他の人に取られても知らないから」
「大丈夫、自信あるから。君が俺じゃなきゃ駄目になるくらい好きにさせてみせるよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・バカ赤也」
「・・・・・・・・・・・・・・・バカで結構」
2002年8月8日