<天下無敵?>





「越前君てさー・・・ホント困るよね・・・」
「は?俺のどこが悪いわけ?」
「だって青学だしナマイキだし一年なのにレギュラーだし・・・。挙げればキリがないじゃん・・・」
「・・・バッカじゃないの?」
「まあ、それはどうでもいいんんだけど・・・」
「(どうでもいい!?)」
「顔は綺麗だし男にも女にもモテるし俺が恋人だって宣言したのに諦める奴いないし・・・。ムカツクよね・・・」
「それって俺のせいじゃないし」
「・・・分かってるけど。でもホント困る」(ギュッと座っているリョーマを後ろから抱きしめた)
「・・・・・・」
「この髪も目も唇も全部触っていいのは俺だけなのにさ・・・。越前君は他の男に撫でられても振り払わないし」
「・・・・・・」
「越前君が好きなものも嫌いなものも俺が一番知ってるのに・・・。どんなときに帽子のツバを直すかとか、照れているときはどんな風にしてそれを誤魔化すかとか」
「・・・・・・」
「俺が越前君を好きなことも、越前君が俺をそれなりに想ってくれてることも、一番良く知ってるのに」
「・・・・・・(それなりって何!?)」
「フレンチキスよりも深いキスの方が好きとか、気を逸らせようとしてシーツを握り締めることとか」
「・・・・・・」
「後ろからするのは嫌いだとか、それが俺の顔が見えなくて不安だからとか、最後にはホントに綺麗になくこととか」
「ちょ、ちょちょちょちょちょちょ(今「なく」ってどんな漢字使ってた!?)」
「蝶?・・・うん、そうかもね」
「ーーーーーーじゃなくって!」
「うん」
「何で話がソッチの方向へ行ってるわけ!?」
「・・・それは俺が越前君をどんなに想っているか知ってもらうために」
「〜〜〜〜〜!!!(何でこの人って普段はボヤキのくせにこういうときだけハッキリ言うわけ!?)」
「それは俺が越前君を好きだから」
「(読まれてるし!!)」
「・・・でも、うん、いいや。越前君の好きなようにすればいいよ」
「・・・・・・急に、何?」
「誰に頭撫でられようが抱きつかれようが限定パフェにつられてデートに行こうが、全部越前君の好きにすればいいよ・・・」
「・・・・・・」
「俺はそのたびにハラワタが煮え繰り返そうになるけど、アキラでも使って発散させるし・・・。越前君は越前君のものであって、俺のものじゃないんだし」
「・・・・・・」
「・・・・・・越前君がそうしたいのなら、俺は何でも許すよ」
「・・・・・・」
「ただ」
「・・・・・・」
「ときどきでいいから、こうして抱きしめさせてもらうし」
「・・・・・・それで、いいわけ?」
「・・・いいよ。越前君が、よければ」
「・・・・・・」
「好きだけど、独占したいけど、嫌われたくないし」
「・・・・・・」
「男心って複雑なんだよね・・・・・・」
「・・・・・・」
「あー・・・幸せ・・・」
「俺は、幸せじゃない」
「・・・・・・そう」(抱きしめていた腕をそっと解く)
「〜〜〜だからそれが悪いんだってば!!」
「・・・?」
「アンタは俺の恋人なんだから俺のこと独占していいんだよ!遠慮なんかして他の奴に俺を奪われたいわけ!?」
「・・・でも越前君は越前君のものだし」
「〜〜〜じゃあ深司は俺に独占されたくないんんだ!?リズムと仲よく話してればそれでいいんだ!?」
「何でそこでアキラが・・・」
「とにかくッ!!!」
「・・・・・・」
「アンタは俺が何かされる度に嫉妬して他の奴等を追っ払ってくれればいいの!独占したいならちゃんとしなよね!!」
「・・・・・・してもいいんだ?」
「〜〜〜〜〜〜〜バーッカ!!!」
「そっか・・・。してもいいんだ・・・」
「・・・・・・(一抹の不安)」
「・・・よし、じゃあ明日青学行こう。そのあとで氷帝と山吹とルドルフと・・・」
「・・・・・・は?」
「ちゃんと独占するって言わなきゃ・・・。でなきゃアイツラ呪っても呪いきれない・・・」
「・・・・・・」
「ありがと、越前君・・・・・・。好きだよ」
「〜〜〜〜〜〜(だから何でこうサラッと!!)」
「それは俺が越前君を好きだから」
「(また読まれてるし!!)」



独占欲と不安な心。すべて告げて想いを告げて。
明日からは正々堂々恋人同士っぷりを発揮しますので、そこのところどうぞヨロシク。
以上、伊武深司と越前リョーマでした。





2002年10月4日