<テディ・ベア>
「ダダダダーン!リョーマくん、見てくださいコレ!」
「・・・・・・・・・クマ?」
「そうデス!テディ・ベアです!」
「ふぅーん・・・」(飴色のクマをいじくりまわす。フワフワの手触りがお気に召したご様子)
「どうデスか?可愛くありませんか?」
「・・・まぁまぁじゃない?」
「それはよかったデス!」(王子様の『まぁまぁ』は『いいんじゃないの?』と太一の中で翻訳されている。実際それは当たってる場合が多い)
「手触りがちょっと、いい感じ」(思わずふんわりとした笑みが浮かぶ)
「・・・・・・・・・!!!」(王子様の笑顔にノックダウン。思考は迷宮の彼方に)
「太一?」
「ハハハハハハイッ!?」
「・・・・・・・・・」(挙動不審な太一に不信そうな目)
「そのクマ、リョーマくんにあげるデス!」
「え?」
「僕からリョーマくんへのプレゼントです!!」
「・・・・・・・・・」(笑顔で言う太一と飴色クマを見比べる)
「・・・・・・いらないデスか?」
「・・・ううん。もらっとく」(太一にはないはずの耳と尻尾が垂れ下がってるのを見て楽しそうに笑う)
「そうデスか!よかったデス〜」
「でも何でいきなりクマ?」(耳を引っ張ったりして可愛がっている)
「実はそれ、家庭科の授業で僕が作ったデス。上手に出来たからリョーマくんにプレゼントしようと思って」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「えへへ、自分でも上手く出来たと思うデス〜」
「・・・・・・・・・・・・・・盗聴器とか、入れてない?」
「・・・・・・・・・・・・・・入れてない、デスよ?」
(微妙な沈黙)
「・・・・・・・・・・・・・・とりあえず、もらっとく」
「ハイ!大事にしてあげて下さいね」
「太一って名前付けてサンドバッグにする」
「そそそそそそそれはちょっと・・・・・・」
「―――――ジョーダン」(クマを顔を同じ位置に掲げてニッコリと笑う)
「・・・・・・・・・!!!」(やはりノックアウト)
「太一って名前付けて本物が嫉妬するくらい可愛がろうっと」
艶やかに笑った王子様。
あげたくて渡したプレゼントはどうやら自分の首を絞めてしまったみたいで。
壇太一は困ったように笑うのだった。
2002年9月12日