「ひゃあんっ!」
甲高い声が、綱吉の部屋に響いた。
清純派彼女
沈黙が広がった。それは一分なのか、二分なのか、もしかしたら五分だったのかもしれない。それだけ長く感じる沈黙だった。
綱吉は自分のベッドに押し付けられ、仰向けになっている状態だった。その彼の上、ちょうど腰あたりの位置に少女が馬乗りになっている。もともと短いスカートが今は更に広げられて、ピンク地に純白レースいっぱいの下着がその隙間から覗いていた。
真っ赤な顔で少女が固まっている。そしてそれは綱吉も同じだった。石像のように二人が動かなくなってから、およそ10分。
林檎のように顔を染めている少女の目が、泣きそうにきゅっと細まる。そのままうつむかれると、綱吉の位置からは彼女の独創的な髪の分け目しか見えなくなった。いつもは好き勝手に喋っている声も、今はか細く消えそうに聞こえる。
「す、すいません、綱吉君・・・・・・」
「い、いや、別に」
「あぁもう本当、すみません・・・・・・」
綺麗な指先が、ぎゅっと綱吉のティーシャツを握りしめる。その際に爪が素肌の腹を掠めて、ぴくりと綱吉の体が小さく跳ねた。それに対してまた、少女が反応して動きを止める。
再度広がった沈黙は、気まずくなる前に少女の溜息で切り上げられた。
「僕、今、生まれて初めて世の中の女性というものを尊敬してますよ・・・・・・」
あぁ、うん、と曖昧に綱吉は頷く。
「よもやまさか、こんな風に作られているとは・・・。アレですね、やはり女性は丁重に扱わなきゃいけませんね」
指先が、くるくるとティーシャツを巻きつけては外し、同じ仕草を何度も繰り返す。
「男の生理なんかよりも、ずっとデリケートですよ。それともアレですか。好きな人だから特別とかいう、アレなんですか」
常日頃のよく喋る様子から見れば、少女がいかに混乱しているのかがよく分かっただろう。けれど今この部屋にいるのは二人だけ。もう一人の綱吉は天井の木目を数えるのに必死になっていて気づかない。
「ちょっと触れられただけでこれですか・・・・・・。これ以上ならどうなっちゃうんですか。今でさえかなり、大変なことになってるんですけれど」
もぞ、と耐えるかのように腰を動かされ、綱吉は木目を数えるスピードを上げた。すでに500は超えている気がする。
そんな彼の行動に気づかず、乗り上げたままの少女は、ティーシャツの裾から覗いている意外にたくましい腹筋にそっと指を滑らせた。綱吉が必死に息を飲む。
「もしかして僕、淫乱なんでしょうか。でもこの身体になってからは一度もセックスしてないんですよ。初めては綱吉君って決めてるんですから。決めてるんですけど、何なんでしょう本当」
そっと、手がティーシャツの中に滑り込む。体温はあまり変わらないのか、触れる肌の間にじっとりと汗が浮かぶ。どくどくという鼓動が直接、手のひらを介して伝わってくる。
「あぁもう本当にすみません、綱吉君。すみません。本当に申し訳ない。後ちょっとだけ待って下さい。絶対に僕の初めては綱吉君に捧げますから。だからお願いします。もうちょっとだけ待ってて下さい」
ゆっくりと倒されていく上半身が、隙間なく二つ重なる。こんなにくっついたのは初めてかもしれなかった。頬から伝わる体温が信じられないくらいに心地よい。身体中の息を吐き出して、少女はゆっくりとまぶたを下ろす。
「・・・・・・どんなに僕がみっともなく乱れても、お願いですから、嫌わないで下さいね・・・?」
事故でちょっと胸に触られたくらいでこんなに濡れちゃってるんですから、本気で揉まれたらどうなっちゃうのか分からないです。
少女のそんな呟きが綱吉の首筋をくすぐり、やはり木目を数えるスピードを上げさせた。すでに1000を超えた綱吉の思うことは一つである。
元は男なのだから男の気持ちと状態を汲んで今すぐ退いてほしい。
そう祈る彼の我慢は、もうしばらく強制させられそうだった。
髑髏嬢、女体の神秘と不思議を実感中。
2006年9月18日