白蘭に関しては十年前の十年後にに片付けてしまったので、それとは違った未来になってます。ボックスなんてありません。それを踏まえてどうぞー。
the recipe for King / 王様の作り方
「十年前の十年後って良かったなぁ」
ぽつりと、綱吉が呟いた。左の手で書類をめくりながら、右手では握っているペンをくるりと回している。中学生のときからの癖は童顔の綱吉をことさらに幼く見せ、スーツさえ着ていなければ学生と間違えるだろう。しかしボンゴレファミリーのドンを勤める彼は、サインを走らせながら一人続ける。
「ボックスやリングはともかく、十年前の十年後って、炎を出せる人がそこらへんにいたじゃん? マフィアは炎が出せて一人前、みたいな?」
くるくるとペンが回る。ついでに綱吉の飴色の髪もふわふわと揺れる。
「どんな下っ端でもとりあえず炎は出せたしさぁ。まぁ質は悪かったけど」
はいこれ終了。ぺらりと書類を脇に置き、綱吉は新たな一枚を手に取る。
「でも今考えればそれってさぁ」
くるり、ペンが回る。
「俺の食料が、そこらへんにごろごろ転がっていたってことだよね」
俺の死ぬ気の零地点突破・改なら、相手の炎をエネルギーとして吸い取れるしさぁ。あははー俺ってばオールウェイズバイキングー。片っ端から捕まえてお食事だぁ。食べ放題ばんざーい。
はいこれで終了、と綱吉はにこやかに書類とペンを手放した。
「獄寺君、この後はロームフェラ財団と会談だっけ?」
「じゅっじゅじゅじゅじゅじゅじゅ十代目っ! ま、まだ時間が有りますからどうぞお休み下さいっ!」
「そ、そうですツナさんっ! フランス語の通訳も呼ばなくちゃですし!」
「あははー大丈夫だよ、ハル。人間、笑顔と拳があれば並大抵のことは成せるんだから」
「ツナ、日本茶入れるから飲めよ。和菓子も今用意させるから」
「沢田、饅頭もあるぞ!」
「あははーありがとう山本、お兄さん」
「ちょっと、綱吉専用のエネルギーチャージはどこ行ったの?」
「まったく、ヴァリアーのボスとやらも役に立ちませんねぇ」
「お、俺、今すぐ引きずり出すよう言ってきますっ!」
「あははー雲雀さんも骸もランボも何言ってんの。俺ならぜんぜん大丈夫だから」
ぜんぜん大丈夫じゃねぇよ、とリボーンは思った。あははーうふふーと愛らしく微笑んでいる綱吉は、果たして何日目の徹夜だっただろうか。昨日の守護者とヴァリアーの損害価格はいくらだったか。どっかのファミリーから喧嘩は売られていただろうか。後はえーっとえーっとえーっとえーっと。
必死に思考を回転させながらも、エスプレッソの入ったカップを持つリボーンの手は僅かに震えていた。ぎゃんぎゃんと騒ぐヴァリアーの声が段々と近づいてくる。果たしてどちらが早いだろうか。
ツナ様の降臨まで後、さん、にい、いち。
ゼロ!
2007年5月21日(2007年8月16日再録)