普通ツナ=綱吉orツナ、小言弾ツナ=ツナヨシ。二人が双子なパラレルです。
普通ツナが愛されてます。






沢田家双子物語





「綱吉に手ぇ出すな。おまえの相手は俺がしてやるよ」
鈍色のトンファーを受け止め、ツナヨシは冷ややかに言い放つ。雲雀は一瞬真顔になったが、獲物の変更を了承したのか、ぺろりと唇を舐め上げた。事なかれ主義の綱吉と割合好戦的なツナヨシでは、後者の方が雲雀の相手としては望ましい。反動をつけてトンファーを引き、軽く距離をとって構え直す。
ベスト姿のツナヨシの後ろ、セーター姿の綱吉が見える。共通しているのは緩く締められているネクタイで、ツナヨシは硬質な少年らしい美貌を、綱吉はどこか小動物のような愛らしい魅力を持っている。突然の雲雀の襲撃に目を丸くしていたけれど、我に返って綱吉がぺこりと頭を下げてくる。草食動物のくせに相容れないそんな性質を、雲雀は気に入っていた。
「相変わらず似てない双子だね」
「俺が綱吉みたいだったら気持ち悪いだけだろ。綱吉は綱吉だからいいんだ」
「それは言えてる」
「だったら綱吉にちょっかい出すな。おまえは悪影響を及ぼしすぎる」
「ワォ、心外だね。それ、隣人の赤ん坊や隣町のあいつら、君の従兄弟に言った方がいいんじゃないの?」
「言うに決まってるだろ。綱吉に害を成す奴がいたら地の果てまで追いかけてぶちのめす」
唇を吊り上げ、凄惨にツナヨシは笑う。それは決して綱吉には出来ない表情であり、似合わない顔でもあった。小さな手にお気に入りのグローブをはめ、ツナヨシは雲雀に向けて拳を構えた。
「綱吉に傷一つでもつけられたら・・・・・・死んでも、死にきれねぇ」
派手な音を立てて二人がぶつかり合う。喧嘩と言うには激しすぎるそれは、並盛中の毎朝お馴染みの光景だった。

後ろ手に渡された自分と同じ型の鞄を抱え直し、綱吉は溜息を吐き出しながら近くの花壇の端へと腰を下ろす。校庭の中央で繰り広げられている一対一の戦いは、日々激しさを増しているように見えてならない。昇降口へ向かう女生徒からは「頑張ってーツナヨシくん!」と黄色い声が飛んでいるし、窓から見物している男子生徒たちからは「そこだ、いけっ!」などの歓声が降ってくる。毎朝のことなのにみんな飽きないなぁ、というのが綱吉の正直な感想だった。
「よっ、ツナ」
「あ、山本。おはよー獄寺君」
「おはようございます、沢田さん!」
声をかけられて振り返れば、山本が爽やかな笑顔で、獄寺は折り目正しく45度腰を曲げて挨拶してくる。彼らも綱吉と同じように花壇に腰かけ、目の前の格闘バトルを眺めやる。
「相変わらず飽きねーなぁ、ツナヨシも雲雀も」
「だよねぇ。ツナヨシもいい加減止めればって言ってるのに」
「でも雲雀の野郎は沢田さんに危害を加えようとしてるんですよ! ツナヨシさんの怒りは当然っす!」
「雲雀さんもなぁ・・・・・・何で俺に構うんだろ。俺なんか弱くてダメダメだし、どうしたってツナヨシの方が強くて気も合いそうなのにさ」
心底不思議そうに綱吉は首を傾げるが、山本は曖昧に笑ってその問いを流した。綱吉とツナヨシでは、確かにツナヨシの方が喧嘩の腕は立つし、見た目の麗質さから人目を引く。けれど少し付き合ってみれば、綱吉の方がおおらかな気質で優しさに満ち、一緒にいて心休まることに気づくのだ。だからこそ雲雀は綱吉にちょっかいを出してくるのだろうし、山本も獄寺も綱吉の親友というポジションを懸命に死守している。ツナヨシはそれが面白くないのだろう。自分の双子の半身であり、彼にとっては宝物である綱吉を、誰にもカケラも譲りたくないし、おそらく見せることさえしたくないのだ。
予鈴のチャイムが鳴ると、観戦している生徒たちも校舎の中へと入っていく。けれどまだ戦いを止めない二人に、綱吉は立ち上がって声をかけた。
「ツナヨシー雲雀さーん。俺、予鈴鳴ったからそろそろ行きますけどー」
「俺も行く」
トンファーをていっといなし、ツナヨシはさっさと戦線を離脱して綱吉の元へと帰ってくる。揃いの鞄を受け取る様子を、不満足そうな面持ちで雲雀は眺めた。綱吉が振り返り、ぺこりと頭を下げる。
「ええと・・・・・・それじゃ、失礼します」
「明日は君を咬み殺してあげるよ」
「その前に俺がおまえを潰してやる」
「楽しみだね」
ツナヨシの剣呑な視線を流し、雲雀は高慢に笑ってみせた。昇降口へと向かっていく四つの後ろ姿を何の気なしに眺めていると、最後に綱吉が振り返り、再度ぺこりと頭を下げる。ひらひらと手を振ってやり、雲雀は小さな背中を見送った。

そっくりだけど正反対。似てないようで似ている双子。
沢田綱吉と沢田ツナヨシ、彼らは並盛で最も有名な兄弟だった。





ちなみに普通ツナがお兄ちゃんです。XANXUSは従兄弟、リボーンとコロネロは隣の家の双子ちゃん。獄寺君と山本は中学のクラスメイト、雲雀さんは先輩。黒曜組は隣町の中学生、ベルは高校生、スクアーロ以上は大学生やら社会人その他いろいろ。
2006年11月13日(2006年12月18日再録)