おひるねごろん
ちょっとした所用で出ていたXANXUS・ルッスーリア・マーモンが帰宅して見たものは、人のなる木だった。
「あ、おかえり」
人のなる木、もといこの家の正確な主の二人のうち一人、綱吉が振り返って笑う。彼は今、リビングの絨毯の上に腰を下していた。
暖かい午後の日差しが、窓ガラスを通じで穏やかに彼の上へ降り注いでいる。その膝の上に日差しとは違ったキラキラを見つけ、XANXUSはあからさまに眉を顰めた。赤ん坊にしては迫力のある顔に、綱吉が苦笑して手招きをする。近づいた三人は、綱吉の膝を見て「やっぱり」と思った。
彼の膝の上では、スクアーロがくうくうと寝息を立てて眠っていた。
伸ばされた左足ではベルフェゴールが、右足ではレヴィ・ア・タンがそれぞれを枕に寝入っている。
腰の辺りでは全身を丸めてぴったりとくっつきながら、ゴーラ・モスカが眠っていた。
「・・・・・・どうしたのさ、これ」
微妙に不愉快さのにじむ声音でマーモンが問うと、綱吉は小さな声で答えた。
「スクアーロが泥だらけで帰ってきたから、シャワーを浴びさせて、髪を乾かしてたら寝ちゃったんだ。そうしたらベルやレヴィも寄ってきて、せっかくだからゴーラも一緒に昼寝させちゃおうと思って」
「可愛いわねぇ」
「だろ? 俺、さっきビアンキに頼んで写真撮ってもらっちゃった」
綱吉が言う通り、眠り込んでいる四人の寝顔はとても穏やかで、ただの赤ん坊にしか見えない。とてもじゃないが独立暗殺部隊のメンバーとは思えないだろう。
仲間とはいえ、これだけ他人が近づいても目覚めないのだ。プロとして失格だと思わないでもなかったが、それは口にしない。自分もきっと同じ羽目になるだろうと、XANXUSもルッスーリアもマーモンも思ったからだ。
ふむ、と考えた後、XANXUSは口を開く。
「おい」
「ん?」
優しい手付きでスクアーロやベルたちを撫でていた綱吉は、次の瞬間ひっくり返された。背中には絨毯の感触。ぱちりと目を瞬くと、視界に映る天井の手前にXANXUSの顔が現れた。けれどすぐに消えたかと思うと、綱吉の右腕にぽんっと軽い重みが加わる。慌てて振り向けば、そこではXANXUSが綱吉の腕に自身の頭を載せていた。俗に言う腕枕である。
「じゃあ僕は腹にするよ」
「それじゃ、あたしは左腕ね」
マーモンが綱吉の腹にフードの頭を預け、ルッスーリアは逆さまの向きで綱吉の左腕にモヒカンの頭を載せる。三つ増えた重みに綱吉がきょとんとしていると、すぐに小さな寝息が聞こえだした。少し高めの体温と、それぞれの髪の感触がくすぐったい。笑みを漏らし、綱吉も目を閉じる。
「おやすみ、みんな」
それは、ある麗らかな午後のことだった。
奈々ママと一緒に買い物に行ってたランボやイーピンやフゥ太が帰ってきて「ずるい」と騒ぎます。リボーンは黙ったままずっと不機嫌。
2006年10月8日(2006年11月4日再録)