同盟ファミリーの一つと会談を終えた後、あまりに天気が良かったので綱吉は歩いて帰ることにした。
部下たちは皆心配したけれど、それはそれ。ドンの素敵な笑顔で押し切った。
そうでなくてとも物陰から護衛と称してついてきているのだろうし、まぁそれくらいで安心してくれるなら安いものだと割り切っているところが綱吉の良いところであり悪いところでもある。
まぁ、そうしてのんびりとイタリアの街を歩いているとき。
「あの・・・・・・っ」
幼い声に話しかけられ、綱吉は足を止めて振り向いた。





来たるべき恋





「はい、ハル。お土産」
そう言って綱吉が差し出したのは、マリーゴールドの小さなブーケだった。
新聞で包まれ、リボンで結ばれているだけの質素だけれど可愛らしいそれに、ハルは歓声を上げる。
「うわぁっ・・・ツナさん、これ、ハルにですか!?」
「うん。街で花売りの子に声をかけられてね。綺麗だったから買っちゃった」
「ありがとうございますぅ!」
嬉しそうにぎゅっと花束を抱きしめるハルに、綱吉も満足そうに微笑む。
そしてもう一つ、今度はカトレアのブーケを差し出した。
「ビアンキにも。気に入ってもらえれば良いけれど」
「ふぅん、ツナヨシにしては気の利いたブーケね。そうね、もらってあげてもいいわ」
「ありがと」
言葉では何だかんだ言いつつも、ビアンキも綺麗な微笑で花束を受け取る。
そして残った一つを確かめるようにして、綱吉は差し出した。
「はい、リボーン」
漆黒の帽子の下で、少女にしては切れ長の目が不機嫌そうに細まる。
そんな様子に綱吉は笑った。ブーケの中から二輪抜き出して、一つをそっと漆黒のスーツの胸ポケットへと差し入れる。
もう一つは同じように、自分のスーツへ。
「・・・・・・カエデかよ」
「ケシが良かった?」
「チッ! ダメツナが」
乱暴に手を伸ばしてブーケを掻っ攫っていく少女に、綱吉は肩を竦めた。
それでもきっと、大切に飾られるだろう花束に笑みを向ける。



イタリアの街は、今日も変わらず美しい。





マリーゴールド:いつもかわいい
カトレア:あなたは美しい
カエデ:とっておき
ケシ:来たるべき恋
ツナさんは花言葉を知ってます。リボーン、己の教育を後悔中。

2006年4月6日