30くらい.淡島世理の娯楽
「伏見、あなたもいい加減に女子の隊服を着るようにしなさい」
そう言って、セプター4の副長である淡島は、伏見の手に一着の隊服を押し付けた。青色は変わっていないけれども、どうしたって布の総面積が少なくなっている。広げてみれば、コートは今まで通りの膝丈だったけれども、下がスラックスではなくショートパンツに変わっていた。淡島のように際どすぎるミニスカートでなかったことに安堵すればいいのか、オーバーニーソックスを渡されたことで絶対領域を演出することになる虚しさを嘆けばいいのか。伏見には分からない。けれど拒否しようと開きかけた口は、淡島に両肩を掴まれることで無に帰してしまった。
「私服も今度一緒に買いに行きましょう。女の楽しみをいろいろと教えてあげるわ」
「・・・こんなガリガリの太腿を見て喜ぶ男とかいないと思うんですけど」
「あら、意外とそうでもないわよ? でも確かにあなたはもっと食べるべきね。胸はともかく、お尻にはもっと肉を付けた方がいいわ」
「あの、そういうセクハラとか本当にいいんで」
「前からあなたを着飾らせてみたかったのよ。先輩の言うことには従いなさい?」
にこりと微笑まれて、逆らうことが出来るのは権力的な面で室長である宗像くらいのものだろう。引き攣る頬を隠すことなく、伏見は大仰に溜息を吐き出した。けれどそんな淡島の行動を、他の隊員たちが尊敬の眼差しで眺めていたことを伏見は知らない。
そうしてセプター4に、十代のショートパンツ絶対領域アイドルが誕生したのである。
我々セプター4は、伏見猿比古隊員を命を賭けて守ることを誓います。
2012年12月24日(pixiv掲載2012年12月23日)