12.八田美咲の想像外





八田へ向けて一歩踏み出そうとした伏見の身体が横から攫われる。青に包まれた長い腕でその腰を拘束し、捉えた身体を自身へと引き寄せる。動けなくなったことに気づいた伏見が顔を上げれば、彼女を捕えた「青の王」である宗像は、微笑みを浮かべて見下ろしていた。
「駄目ですよ、伏見君」
「あ?」
「君はまだ療養中の身です。無理は許しませんよ」
宗像が伏見の耳元に唇を寄せて、そっと囁く。身動ぎするのを逃すつもりはないのか、細腕はあの周防と渡り合えるだけあって剛腕だ。しばらくもがいていたけれども、不可能を悟ったのか伏見が大人しくなる。そんな彼女の頭越しに、宗像と八田の視線が絡まった。
にこりと、宗像が笑った。





瞬間、ぶわりと全身が戦慄いた。
2012年12月24日(pixiv掲載2012年12月23日)