1.伏見猿比古の傷跡





『着いてくんじゃねーよ! っ・・・女のくせに!』
脳内で過去が弾け飛ぶと共に、視界が窓から差し込む太陽の光で白む。中途半端に閉められたカーテンの隙間から入り込む眩しさは、もう朝であることを伏見に知らせる。元々寝起きが悪く、爽やかな目覚めとは無縁な性質だが、今日は輪をかけて酷かった。毛布から緩慢に抜き出した腕を裸眼の瞼に押し付ける。夢だけれど、夢ではない過去を振り払うには、まだ月日が足りない。瞼の裏に浮かぶ姿が愛しいからこそ憎らしくて、伏見は無理矢理目を開いた。ワンルームの寮は無機質で冷たい。





あたま、いたい・・・。
2012年12月24日(pixiv掲載2012年12月23日)