24.一月





春高は東京で開催となっているが、実際のところは埼玉県で試合が行われる。何故なら開催場所である東京体育館が改修工事をしているからだ。そのため準々決勝までの試合はさいたまスーパーアリーナで行われ、準決勝と決勝は所沢市民体育館で開催される。何だかな、と思いながら岩泉たちは現地入りした。仙台から大宮までは新幹線で一時間半もあれば着いてしまうため、大した移動時間ではない。準々決勝と決勝の間は四日間の日が空くから、その間は一度仙台まで帰ることになっている。沖縄から来る学校はこうはいかないだろう。距離はあるものの交通の便の良さは、こういった面でとても良かった。
「なぁ、あれどこ」
「んー? 音駒だって。東京代表」
「レシーブすげぇレベル高いな」
「確かにね。守備力高い学校だって聞いたことある」
客席から公式練習を並んで見下ろす。部員たちはそれぞれ別の学校を観に行っており、後で情報交換する予定だ。青葉城西はいついかなるときも考え続けることを是としているから、どんなに授業の成績が悪い輩でもバレーにおいては考える頭が養われている。岩泉と及川は、真っ赤なジャージで練習をこなしている学校を観察していた。なるほど、この守備力の高さは厄介そうだ。青葉城西は攻撃の多彩さに自信があるから真っ向勝負も面白いかもしれない。音駒だけじゃない。他にもたくさん、自分たちの知らない学校が山のようにいる。全国という舞台において、青葉城西はルーキーなのだ。初出場。だからといって強くはないと誰が決めた。
「・・・ぞくぞくすんな。早く試合してぇ」
興奮を抑えきれないといった岩泉に、及川が声を挙げて笑った。
「岩ちゃんのそういうとこ、本当に選手向きだよね」
「うるせ、おまえもだろうが」
「まぁね」
眼をぎらつかせてコートを見やる。初めての全国大会に、緊張よりも高潮が止まらない。





音駒と当たるのは準々決勝か。
2014年1月5日(pixiv掲載2014年1月3日)