2.八月





夏の大会が終われば期末試験があって、インターハイには出られないものだから夏休みは丸々練習に注ぎ込むことになる。引退なんてするわけがない。三年の一月まで部活を続けることは、青葉城西に入る時点ですでに親にも宣言していた。受験勉強はもちろんするつもりだけれど、部活を優先したい。最悪、浪人することになるかもしれない。だけど最後の最後まで挑戦したい。迷惑をかけるけれど、どうか許してほしい。頭を下げた息子に、岩泉の両親は優しく笑ってくれた。親として、息子が挑み続けては敗北し、悔しさに涙し拳を握り締める姿をずっと見て来ているのだ。そんなことは心配しなくていいから、全力でやりなさい。自分で納得の出来るまで頑張りなさい。そうかけられた言葉が、岩泉の足元を支えている。有難いと、心底思う。
朝九時から夕方五時まで、昼休憩一時間を挟んで練習は続く。朝晩のランニングと部活後の自主練を含めれば、一日の大半はトレーニングで埋まってしまう。盆の四日間は流石に部活も休みになるが、岩泉の家は実家も宮城県内にあるため、顔を出しに行って一泊して帰ってきて、それで終わりだ。後はただひたすら自主練に励む。
オーバーワークを少し越えたところで練習を切り上げる。怪我なんてしたら元も子もない。良く食べて、良く寝る。勉強も一応やる。それと、後は。
毎日を我武者羅にこなしていれば、日々なんてあっという間に過ぎていく。そうして岩泉は久し振りの制服に身を包み、二学期の始業式を迎えた。





それと、後は、それと。
2014年1月5日(pixiv掲載2014年1月3日)