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言峰綺礼は教会の自室で、時臣のサーヴァントであるギルガメッシュと対峙していた。霊体化して入ったのか、勝手にソファーに座っては言峰の所持するワインの封を開けている。そうして声をかけられ、言峰は彼に言われて調べていたことを自らの口から語った。
「ライダーのマスター、それとすでに死んだがランサーのマスターについては、別段聖杯に託するだけの願望があるわけでもなく、ただ魔術師としての栄誉のために勝利を求めているだけのこと。キャスターのマスターに至っては、そもそも聖杯の何たるかさえ理解していない」
一度唇を湿らせ、言峰は続ける。
「セイバーのマスターはホムンクルスらしく情緒がなく、ただアインツベルンの意向に従っているに過ぎない。バーサーカーのマスターである間桐臓硯は、時臣師の言葉が確かなら六百年以上前の人物だが・・・」
「六百年? 我の目には言峰、おまえと同じくらいの歳に見えたが」
「何でも時を操る魔術師を囲っているとか。入念な結界が張り巡らされているため、間桐邸にはアサシンも立ち入ることが出来ない。だが、間桐臓硯の願望も時臣師と同じく、聖杯を手に入れることでの根源への到達だろう」
「つまらん。つまらんぞ、雑種共が!」
長い脚をテーブルの上に投げ出し、ギルガメッシュは赤ワインに満たされたグラスを揺らした。
「仕方があるまい。言峰、この下らぬ争いが決着した後、おまえにはこの我が直々に愉悦の何たるかを教えてやろう。精々そのときまで、おまえは時臣の手足となって働くがいい」
「元よりそのつもりだ」
聖杯戦争の裏の目的を知らないからこそのギルガメッシュの台詞に、言峰は素知らぬ顔で頷いた。彼にとって惹かれる人間はひとりも存在しない。常に失望と絶望を抱いて、言峰綺礼は生きている。





切嗣と出会っていないので執着対象もない言峰。故に時臣離反の理由が発生しない。
2014年2月28日(pixiv掲載2014年2月24日)