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そうしてあっという間に時は過ぎ、運命の刻限がやってきた。二十四歳で死徒化に踏み切った臓硯は、雁夜の目から見ても強大に映った。容姿は鶴野に似ているけれども、その内から発される威圧が何より違う。雁夜は相変わらず間桐家が好きではないけれども、それでもかつて素晴らしい能力を誇っていたというのは臓硯を見るだけで納得することが出来た。
時計は夜の零時を回った。蟲蔵の床に描かれた魔法陣に手のひらを翳し、雁夜と切嗣が見守る中、臓硯が詠唱を始める。
「みたせ、みたせ、みたせ、みたせ、みたせ。繰り返すつどに五度。ただ、満たされる刻を破却する」
魔法陣が光り始めると、臓硯の唇が笑みを浮かべる。その瞳に在るのは絶大な自信で、自らに対してのものだろうと雁夜は思った。
「されど汝はその眼を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者。我はその鎖を手繰る者――」
二章を加えて、臓硯の手に刻まれた令呪が英霊を呼び寄せる。漆黒の、狂乱を纏った甲冑の騎士が姿を現す。
冬木における四度目の聖杯戦争が、その日幕を開けた。





さぁて、これでようやく悲願が叶う。
2014年2月28日(pixiv掲載2014年2月24日)