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中学三年生の冬、ついに雁夜は臓硯への不満を爆発させ、卒業式直後に間桐の家を飛び出した。高校には合格していたけれども、臓硯の援助を受けてまで通うつもりはない。通いたくもない。元より雁夜は臓硯も間桐家も、魔術も魔術師自体も大嫌いで受け入れられない。出て行く、と言った息子に、臓硯は感慨もなく述べた。その面、二度と儂の前に晒すでない、と。望むところだと叩きつけて、雁夜は自身の持つ最大の鞄に必要な物だけを詰めて部屋を出た。廊下を突き抜け、階段を駆け下りる。外へと続く扉の前に切嗣がいた。彼とはこの一年、碌に話していなかった。あの雪の日が最後、何を話せばいいのか分からなかった。そしてそれは、おそらく最後となるだろうこのときになっても同じだった。
視線が合う。雁夜の口が歪んだ。切嗣が眼差しを伏せる。奥歯を噛み締めて、雁夜はその隣を擦り抜けた。十五の春、雁夜は間桐を捨て、友を見捨てた。
何て返せばいいのか、どうしても答えが見つからなかった。
2014年2月28日(pixiv掲載2014年2月24日)