連想ゲーム





雨=大佐

「だよな、アル」
「兄さん、それはさすがに・・・・・・」
困りきった雰囲気で、鎧姿のアルフォンスは苦笑を返した。
彼等の乗っている電車の窓では、大きな雨粒が天から落ちてきている。
エドワードはもう一度それらを眺めながら、一人で心得たように頷いた。
「雨ときたら、大佐だろ」
無能だし、という呟きをアルフォンスは聞かなかったことにした。



ロイ=ショタコン

「・・・・・・つーのは無しで、まぁ普通に国家錬金術師ってところじゃねぇの?」
「俺としては前者でもいいと思うんスけどね」
「お、やっぱそう思うか? アイツのエドに対する執着のしようはある意味犯罪にも匹敵するからな」
「そうっスよね」
ヒューズはコーヒーを飲みながら、ハボックは煙草を吹かしながら笑い声を上げる。
やり玉に挙げられている人物は、今は必死で書類と格闘しているはずた。
優秀な部下の監視の元に。
「ま、大佐ときたら国家錬金術師っしょ」
二本目の煙草に火をつけて、ハボックは言った。



国家錬金術師=エドワード・エルリック

個人によっても認識が違うようで、イズミは包丁を研ぎながら溜息をついた。
「あの子も何だって軍の狗なんかに志願したんだか・・・。まったく視界が狭くてどうしようもない」
「だが、それがあいつらの選んだ道なんだろう?」
「・・・・・・判ってはいるけどね」
奇麗に磨きあげられた包丁を、夫のジグに投げて渡す。
今もどこかで賢者の石を見つけるために旅をしているであろう弟子二人を思いながら。
イズミは困ったように、けれど楽しそうに笑った。
「手のかかる子供だよ」



エドワード・エルリック=大好き

「つーわけで俺は行ってくるからー」
「何馬鹿なこと言ってるの、エンヴィー。あんたは仕事」
「で、おばさんは?」
「私は鋼の坊やとデートよ? 誰かさんとは違ってちゃんと仕事も終わらせてあるもの」
「・・・・・・・・・約束してなきゃデートって言わないし」
「うるさいわね、あんた」
味方内でも争いは勃発。
そんなエンヴィーとラストを放って、グラトニーは黙々とクッキーやらケーキやらをバスケットに詰めていた。
それをどうするのかは、彼だけが知っている。
「さ〜行こ〜」
丸い身体を動かして、人柱候補の少年の元へと急ぐ。
グラトニーの抜け駆けにエンヴィーとラストが気付くのは、ゆうに三時間が経ってからだった。



大好き=エドワード・エルリック

「戻っています、大佐」
「・・・・・・中尉? 君は何を言っているのかね?」
「いえ、何も」
失礼しました、と言って頭を下げるホークアイに首を傾げながら、ロイは書類へとペンを走らせた。
どうやら彼と彼女では次元が微妙に違うらしい。
「本来ならば『大好き』ではなく『愛している』のだが・・・。まぁ、私の愛の言葉はすべて鋼ののためにあるのだから、たいした違いはないだろう」
「大佐は『片思い』という言葉をご存じですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・相変わらず痛いところを突くな、君は」
シクシクと泣き出した上司を見捨てて、ホークアイは処理の終わったファイルを整頓して立ち上がった。
「15分休憩の後、残りの分の書類を持ってきますので」
容赦のない言葉にロイは沈黙してしまった。



エドワード・エルリック=・・・?

エンヴィーやロイに限らず、おそらく似たような言葉が返って来るのだろう。
・・・・・・まったくもって話にならない。
連想ゲーム、これにて終了。





2003年12月9日