A guardian of Liberty and Solitude
8.必然だと、過去が笑った
ゼロの声の分析が終わったとの報告を受け、ルルーシュは地下にある一室へと足を向けた。交代制を取りながらも少ない睡眠で働いてくれている科学チームの面々を一人ずつ労わり、用意された一際座り心地の良い椅子へと腰掛ける。ジノとアーニャはその後ろに立ち並び、けれども暇そうに両手を持て余している。
「始めてくれ」
指示を受け、科学者の一人が頷いて機器に手を寄せる。しんと室内が静まり返り、スピーカーから声が流れ出した。
『私は―――ゼロ!』
は、とジノが口を開いた。アーニャが瞼を少しばかり押し上げる。肘置きに置かれていたルルーシュの腕が、ぴくりと動いた。
『私はゼロ! クロヴィスを殺したのは、この私だ!』
「・・・・・・これって、子供の声じゃん?」
「分析した結果、声変わりなどを考慮すると、十代後半の男性のものと判明しました」
「うっわ、ゼロが十代? まさか考えても無かったな」
「―――少し黙れ」
命令にジノと科学者は揃って口を噤む。ルルーシュは「もう一度最初から」と言って、視界を閉ざすことで更なる聴覚の鋭敏を図った。スイッチが押され、再生が始まる。ルルーシュは黙って耳を傾ける。
『私は―――ゼロ!』
『私はゼロ! クロヴィスを殺したのは、この私だ!』
『クロヴィス総督は愚劣にも武器を持たぬイレブンの虐殺を命じた』
『故に制裁を加えた』
『私は戦いを否定しない。しかし、強い者が弱い者を一方的に殺すことは、断じて許さない!』
流れる台詞は確かにゼロの発したものであり、イントネーションやブレスのタイミングなど、それらはすべて変声機を経て放たれたものと同じだった。記録が終わればまた巻き戻され、最初から再生が始まる。ルルーシュの細い眉が顰められる。きつく閉じられている瞼はおぼろげな記憶の底を掘り返そうとしているかのようで、ジノとアーニャはその横顔を左右から見守る。唇が何か単語を紡ぐかのように開かれては閉じられ、それ以外は微動だにしない。四度目の名乗りで、ルルーシュはようやく顔を上げた。
なるほど、おまえか。愉快そうに唇を吊り上げながら。
さぁ、会いに行こうか。
2008年6月11日