A guardian of Liberty and Solitude
7.幸福の圧力





クロヴィス記念美術館の落成式において、絵画コンクールの結果が発表された。いくつもの絵画の中から、最優秀賞はブリタニア皇帝の姿を描いた作品に決定した。もちろん裏には作者の生家とブリタニアの癒着があったからこその受賞だけれども、総督はそんな政治的思惑など欠片も見せない表情で賞状とトロフィーを手渡した。そして最優秀賞に対する感想を述べ、それと、と付け加える。
「賞には到らなかったが個人的に気に入った絵があった。古き良き日本の自然を描いた、イレブンによる作品だ。その作者のように才能のある者がこうして表舞台に出てきてくれていることを、このエリア11の総督として心から歓迎し、嬉しく思う。今後一層の努力を願いたい」
手のひらによって示された先には、最優秀賞とは真逆の緑に溢れる絵画が飾られていた。特別な賞などは与えられなかったが、その作者が今後大きく取り上げられるだろうことは、総督から言葉を与えられただけで明らかだ。才能があり努力するものに道は開かれる。それを実際に示すことで、更なる切磋琢磨を奨励する。改革は実に緩やかに速やかに、そして確実に行われている。
未だ沈黙しているゼロという名は、すでに過去のものへとなり始めていた。





認められる喜びが、下から追われる焦燥が、人々を高みへと走らせる。
2008年6月11日