A guardian of Liberty and Solitude
3.鮮やかな夢を示してあげる
エリア11の新総督就任式は、クロヴィスの死を思って密やかに地味に行われた。それでもうら若き美貌の皇子を一目見ようと、政庁には多くのブリタニア人と、そして幾許かのイレブンが押しかけていた。専用機から降り立った新総督は前評判を吹き飛ばすほどに美しく、その細い肢体は知性と尊厳に満ちていた。眼差しひとつで民衆を扇動し、微笑みひとつで死を生に変える。そんな悪魔のようなカリスマに気がついたは、ほんの一握りの人々だっただろう。ブリタニアを謳う民衆はただただ、この美貌の皇子に酔いしれた。そして、驚愕した。
遠くに見られるだけで十分だったはずの新総督は、民衆が鈴をなしている政庁の正門まで近づき、歓迎のために差し出された花束を、その繊細な手で受け取ったのだ。あろう事か、イレブンの年端もいかない少女から差し出された花束を。ありがとう。微笑み、イレブンに礼を言った新総督の姿は、繰り返し世界中に放映された。
ゼロからのアクションはその日、なかった。
どうせ演技だと、イレブンは言った。それでも信じたがるのが人だと、新総督は言った。
2008年6月7日