時の娘
1.閃光のマリアンヌ





戦場はマリアンヌにとって、楽に息をすることの出来る場所だ。ガニメデの操縦もすでに慣れたものだし、ナイトメアフレームに乗らず自ら地を駆けるのもまた良い。決して殺戮が好きなわけではないが、命のやり取りをしている瞬間にこそ、自分が最も生きているのだと実感することが出来るのだから仕方ない。女の身で戦場に立つことを厭う輩もいるけれども、そんな周囲を戦績で蹴散らして、マリアンヌは軍に所属し続けていた。戦場は彼女にとって居心地の良い場所だ。何故なら、次に何が起こるのかを、彼女はすべて見ることが出来るのだから。
コクピットの中で瞼を伏せる。身体の線をあらわにするパイロットスーツは、未だ少し気恥ずかしい。高い位置で結んでいる黒髪は随分と伸びた。瞳を閉じて、暗闇を描く。走る光の線を五秒見つめて瞼を開けば、世界はすべて手の中にある。
『いけるか、マリアンヌ』
指揮官の通信に、マリアンヌは唇を綻ばせて答えた。
「―――ええ、いつでも」
そして紫の眼を赤に変え、彼女は戦場に舞い降りる。





相変わらず九割捏造のお話ですが、よろしければお付き合いくださいませ・・・。
2008年7月13日