夏服から覗く白い肌





自分の友人はちょっとばかしイイ男すぎるんじゃないかと、リヴァル・カルデモントは思う。中等部から一緒の枢木スザク。日本首相の息子という彼は、その肩書きに反してとても気さくな少年だ。頭は特別良くもないが運動神経はずば抜けていて、それでいて空気の読めない天然なところが可愛いと女子人気は高い。そして高等部から一緒のルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。リヴァルの母国ブリタニア帝国の正真正銘の皇子である彼は、その肩書き通り気位が高く、まとっている空気が明らかに別格だ。運動神経は平均並みだがずば抜けて頭が良く、何より人間とは思えないほどの美貌を有している。身分差があるとはいえ、彼もまた女子人気は高かった。むしろ学園でしか接触できないからこそ、その人気はすさまじい。
しかしそれだけではないこともリヴァルは知っている。スザクは純真そうに見えて中学時代は学外で散々遊んでいたし、素直そうで頑固、それでいてなかなかに暴力的な面も持っている。ルルーシュは穏やかで時々皮肉屋で、けれどそれも全部ポーズだ。実は賭けチェスの誘いにも乗ってくれるし、「バレなきゃいいんだ」という皇子らしくない面も持っている。周囲には受けの良い二人だが、実はそうでないことをリヴァルは知っていた。知ることが許されるほど親しくなれたのは、紛れもなく自分の努力だと彼は胸を張って言うことが出来た。
そんなスザクとルルーシュは今、リヴァルの目の前で週刊漫画を覗き込んでいる。ちなみにその雑誌はリヴァルのものだ。ルルーシュもスザクもあれば読みはするけれども、購入するほど漫画は読まない。そもそもスザクは本をあまり好まないし、ルルーシュが読むのは分厚いハードカバーばかりだ。巻頭のグラビアをめくりながら、二人は水着姿のモデルをああだこうだと指さしている。女性経験の豊富なスザクと、鏡で最高クラスの美人を見慣れているルルーシュの評価は厳しい。細すぎて抱き心地が悪そうだとか、胸が大きすぎて気持ち悪いとか、美形だからこそ許される好き勝手なことを言っている。クラスの女子たちはそこはかとなく耳を傾けていて、時折シャーリーの肩が跳ねるのをリヴァルはちょっとだけ面白がりながら眺めていた。あぁでも、とスザクが呟く。

「こんなモデルよりもルルーシュの肌の方が、白いし綺麗だし触り心地が良さそうだよね」

ちょっと触らせて、あ、やっぱりキメ細かい。そんなスザクの声も、ルルーシュの半袖のワイシャツから見える腕に伸ばされた指も、クラス中の生徒が一斉にがばっと振り返ったことも、全部スルーしながらリヴァルは用済みになりそうな雑誌を手元へと引き寄せた。写っている最近人気沸騰中のグラビアアイドルには申し訳ないが、肌といい顔立ちといい色香といいルルーシュの方が勝っているのは事実なのだから仕方ない。だけど何だかなぁ、とリヴァルは肩をすくめる。
自分のイイ男な友人たちが、そのうち一線を超えてしまうんじゃないかと彼は密かに懸念していた。





何かさーこいつらって、ほんとアレだよなー?
2007年4月25日