「ギアスを使って仕立て上げたゼロを、ゼロ本人が捕まえる。笑えるくらいの自作自演だな」
「事実が真実である必要はない。何も知らぬ人間には捕まった人物がゼロになる」
「おまえは手柄を手に入れ、ブリタニア皇室に無事に復帰。特派をもらい、しばらくはシュナイゼルの下で働くのか?」
「あぁ。目をつけられているのは間違いないからな。しばらくは殊勲を譲ってやるさ」
「泣き落としまで使って得たナイトを戦場に送って? 親友の振りまでして恥ずかしい奴だ」
「それをスザクが望んだ。あいつは本当にいい奴だよ」
「ロイドとかいう男を信用してるのか?」
「直属の上司がシュナイゼルだから、今のところは半々だな。だが、ランスロットを動かすのにはあいつが必要だ」
「カレンとかいうテロリストにコーネリアの首を取らせ、シュナイゼルを殺す機会を眈々と狙い、そして目的は皇帝か。道のりは遠いな」
「だからこそ、やり甲斐がある。駒は十分に揃っている。後は俺の腕次第だ」
「そしてユーフェミアを王に仕立て上げ、妹の処遇は安泰。甘い皇帝は占領国を解放し、日本もイレブンの手に戻る」
「あぁ。ユーフェミアは間違いなくそうするだろう」
「それでおまえはどうする。大臣の座にでもつくつもりか? それとも妹と共に隠居でもするのか?」
「さぁ、どうするかな」
曖昧な答えにC.Cは不愉快げにルルーシュを見上げる。寝転んでいる彼女から見える横顔は、白と黒のチェス盤をじっと見つめている。端正な作りだ。紫の瞳は目の前のものを見ているようで見ていない。彼の思考はここから遠く離れた場所にある。つまらなく思い、C.Cは再びベッドへと顔を埋めた。けれど弾かれたように身体を起こす。ルルーシュはまだ振り返らない。奇妙な直感がC.Cの中に生まれた。
「おまえ、死ぬ気か・・・・・・!?」
チェス盤から離れ、紫電の瞳がC.Cを捉える。顔など見たくなかった。さっきと同じように、曖昧な返事を返してくれれば良かったのに。
笑うルルーシュの顔は、C.Cが初めて見るものだった。罪人というよりは聖者のそれ。
泣きそうに歪みながらも、彼は笑う。
When The Saints Go Marching In
Last.マスターの祈り
ルルーシュは涙を見せない。
仮面が静かに、彼のすべてを隠していった。
2006年12月10日