【「お月様を引きずり落とせ!」を読むにあたって】

この話はアニメ23話のネタバレを含みます。
V.Vが不憫で、ルルーシュが一週間徹夜明けみたいなテンションで、C.Cが悪乗りしています。どんな話でも大丈夫という方のみご覧下さいませ。
閲覧後の苦情は申し訳ありませんがお受け出来ません。少しでもやばいと思われた方は今すぐお戻り下さいませ。むしろレッツリターン!



▼ 大丈夫です、読みます ▼












































ギアスのオン・オフの切り替えが不可能になってしまった。これでは日常生活は送れない。学園を去らなくてはと考えながら、ルルーシュはクラブハウスへと戻ってきた。ここに帰れるのも後何回か。自嘲気味な笑みを浮かべながらC.Cにシャワーを譲り、先に自室に戻る。ナナリーの顔が見たかったが、そうすることも出来ない。手にかけた義妹の最期を思い浮かべながら、ルルーシュは自室の扉を開いた。そして閉めた。誰もいないはずの部屋に、何かがいた。

淡い金髪の子供っぽいものが、いた。





お月様を引きずり落とせ!





どうもここ最近の自分は突発事項にばかり見舞われているとルルーシュは思う。すべてはブリタニア皇帝などという父親を持ってしまったこと帰結しそうだが、日本がイレブンに名を変え、枢木本家を追い出されてアッシュフォード家に保護されてからの約七年は比較的平和だった。しかしここ最近の密度の濃さは何だ。何が理由だ。あれか、スザクとの再会か。いや、その前のC.Cの発見か。いやいや、その前のテロリストのトラックか。リヴァルとの賭けチェスは日常の一部だったから違う。つまりトラック、そうかトラックか。カレンのせいか。今度紅蓮弐式に落書きしてやる。そう結論づけ、ルルーシュは大きく息を吐き出してからドアを開けた。しっかりと見つめる部屋の中は、やはり先ほどと何ら変わらない。子供がいる。闇に浮かび上がる色の薄い金髪は長く、その毛先は床に届いている。月に代わってお仕置きする美少女戦士風に結わいてやろうかとルルーシュは思った。足を踏み入れる。後ろ手にドアを閉める。左目は逸らさない。それでも溜息は堪えられなかった。目の前の子供の正体が何となく分かってしまったのだ。いつも同じベッドで寝ていれば、自然とその同種も認識できるようになる。
「何だ、おまえも俺にギアスをくれるのか?」
半端に開かれている、どこか眠そうな印象を与える子供の目がゆっくりと瞬きをする。ルルーシュは部屋を横断し、ゼロの仮面や衣装の入っている鞄を机の上に置いた。子供の視線が自分についてきているのを感じながらジャケットを脱いでハンガーにかける。ついでに皺取りも含んだ消臭剤を吹きかける。
「居候ならすでにいる。他を当たれ」
「・・・・・・ゼロがユーフェミア・リ・ブリタニアにしたことを枢木スザクに話した」
「それで? 今更理由が一つくらい増えたところで、スザクがゼロを憎むのは変わらないさ。向かってくるなら受けて立つ。俺たちは友達だからな」
引き出しからブラシを取り出す。ソファーに向かえば自然と子供の目の前に立つことになり、ルルーシュは目測で相手の身長を図った。しかし中身は外見年齢とイコールではないだろう。おそらくC.Cがそうなのと同じように。
見上げてくる額をぺしりと叩くと、子供の身体が微妙に後ろに傾く。面白かったので二度三度叩き、満足したところで旋毛を軸にくるりと回転させる。薄い肩を上から力任せに押せば、子供はぺしゃんと床に座り込んだ。ルルーシュもソファーに腰かけ、手元に広がる金髪にブラシを通し始める。ストレートに見えながらも先は緩くウェーブを帯びており、C.Cの髪の先にナナリーの髪をつけたしたようだとルルーシュは思った。試しに少し取って三つ編みをしてみれば、解けもせずちゃんと結べる。枝毛もないようだし、質は上々。櫛を利用して、量の多い髪を二つに分けた。とりあえずはお団子だ。
子供が無言なのを良いことにルルーシュはさっさと髪型を整えていく。左右にお団子が出来、そこから流れた髪の先をホットカーラーで巻いているとC.Cが戻ってきた。風呂上がりの彼女はシャツ一枚の肌を桃色に染めていたが、子供の姿を見て息を呑むと同時に睨みつける。
「V.V、何でおまえがここにいる」
「やはり知り合いか」
ルルーシュはカーラーを外し、くるりと丸まった毛先をいじりながら答える。
「今、丁重にお引き取りを願っていたところだ」
「月野うさぎの髪型をさせてか? シャイニールミナスの方がいいんじゃないか」
「マックスハートか。キュアレモネードとどっちがいいだろうな」
「ここはやはりルミナスだろう。プリキュアファイブはまだ知名度が低い」
「そうだな、とりあえず一枚」
ルルーシュが机の引き出しを開けてデジタルカメラを探している間に、C.Cは大股で近づくと子供―――V.Vを引っ張り立たせて、紫の長いマントを剥ぎ取る。その下の白いシャツとズボンに眉を顰め、勝手にクローゼットを漁ってアッシュフォード学園の女子の制服を引っ張り出した。男女逆転祭のときにルルーシュが着たものらしいのでサイズは大きいが、この際仕方がないだろう。V.Vの足を掴んでひっくり返し、スカートを履かせてズボンを脱がす。抵抗はなくもないが所詮は子供の身体。女のC.Cでも楽に抑え込むことが出来、上も着替えさせていると、デジカメのメモリー残量を確認していたルルーシュも戻ってきた。
「右手はもう少し上だ。指を伸ばさせろ」
ばきっという音を立てながら、C.CはV.Vの指を引っ張る。左右の腕を交差させて、足元にはブーツがなかったのでローファーを履かせる。目線を固定させて何枚か写真を撮り、ルルーシュは次の命令を下す。
「裏声で『弱いものをいじめる人は許さない! 黒の騎士団がお仕置きよ!』と言え」
ちなみにギアスはC.Cと同種ということで通じない。沈黙がしばらく続いていると、C.Cが容赦なくV.Vの脳天をタオルで叩いた。銭湯で耳にするようなパシィンという小気味良い音が響き、しばらくの間の後、ぽつりと小さな呟きが落ちる。しかし完璧主義者に近いルルーシュはその後何度もリテイクを命じ、それが20回を超えたころにようやくオッケーを出した。
「次はルミナスだ。C.C、着替えさせろ」
「分かった」
やれ、と容赦ない命令が下され、C.Cの手がV.Vに伸びる。クローゼットから取り出されたフリルたくさんのワンピースが眼前に晒された。何だこいつら、とV.Vは心底思った。
さんざんアニメキャラクターやらメイドやらナースやら猫耳やらの格好で台詞を言わされ写真を撮られ、極めつけにルルーシュは高笑った。
「この写真は黒の騎士団の広報PRに使ってやる。これでおまえは周囲に騎士団のメンバーだと思われ、二度とブリタニア側には帰れない」
あははははは、と素晴らしいほどの笑い声が響く。

「俺に忠誠を誓え、V.V! おまえの能力を余す所なく使ってやろう!」

宣言のバックミュージックとしてプリンターが一枚の紙を排出する。まるで選挙のように「黒の騎士団に入りませんか」と銘打たれた文字の横に写っているのは紛れもないV.Vだ。月の戦士の格好をしているV.Vだ。ディートハルトはいい仕事をするな、と感心したようにC.Cが褒める。ルルーシュは美しい修羅の顔で笑ったまま。
何だこいつら、とV.Vは思った。お邪魔女の格好をさせられたまま、何だこいつらとV.Vは思わずにはいられなかった。





V.Vはちょっとルルを揺さぶりに来たらしいです。しかし逆襲により拘束。ルル様ふっきれすぎ。
2007年4月3日