04.真綿の日々





イタリアの教育課程は、初等学校が五年、前期中等学校が三年、後期中等教育が五年だ。両親の仕事の都合でイタリアへと越してきたは、後期中等教育の一年生に在籍している。学ぶのはイタリア語、歴史・地理、数学、英語、科学、芸術、音楽、技術、体育。宗教教育は各家庭の同意のもとに行われ、はクリスチャンではないけれど構いませんか、との質問に了承を得てから参加していた。学校は月曜日から土曜日までの週六日。家族が学校まで迎えに来るのが大半で、家に帰って少し遅めの昼ご飯。試験は筆記の他に口述とプレゼンがあって、初めて体験するそれをどうクリアーするかが今のところのの課題だ。
「ねぇお母さん、今度の日曜日にソニアと買い物に行ってきてもいい? 安くて可愛い服屋を見つけたんだって」
「いいけど、男の人に声かけられても着いていかないようにね」
「大丈夫だよ、多分。よっぽどのイケメンじゃない限り」
「よっぽどのイケメンだったらお母さんも呼んで。ご飯奢ってあげるわ」
午後は少しだけ休んだ後で、母親と夕飯の材料を買いに出かける。チャオ、と挨拶は欠かさないし、笑って手を振ってくれるお店の人たちがは好きだ。イタリアは文化の違いで少し戸惑うことも多いけれど、明るくて陽気で、すごく楽しい気分になれる街。好きだなぁ、とは思う。もちろん日本だって嫌いじゃないし、大好きだけど、こうやって海外に出てみるのも悪くないと感じるのだ。
朝起きて、学校に行って、習慣が違うから結構必死に勉強して、お昼は家で食べて、夜は父親も含めてのんびりと家で過ごす。週末は友達と遊んで、時々男の人に声をかけられたりなんかして、女の子なんだなぁって実感したら今度は可愛い格好をしてみたくなる。口をついて出る滑らかなイタリア語を不思議に思うことはない。
はイタリアでの生活を謳歌していた。日本での思い出を彼女が懐かしむことはほとんどなかった。





忙しいけど充実してる。日本も好きだけど、今はイタリアの方が好きかもしれない。
2011年7月16日