02.少女の朝U
「ちゃーん、早くしないと遅刻しちゃうわよー?」
「はーい! ねぇお母さん、この格好変じゃない?」
「いつも通り可愛いわよ。さすがお母さんの娘!」
「だからそういうんじゃなくって!」
スカートにブラウス、少し派手なベルトでアクセント。中に着ているキャミソールは小花柄で、少し地味だと言えなくもないが逆に艶のある黒髪が良く目立つ。可愛いわよ、と母親が今度はちゃんと心を込めて言ってやれば、そっか、とほっとした様子で娘も頷く。朝食はコルネットとカフェラッテだけ。お腹が空いたときに摘まむ用のビスケットは欠かせない。
「今日のお夕飯はお父さんのリクエストでフジッリにするけど、ちゃんは何がいい?」
「うーん、じゃあブロッコリーのケッパーソース」
「了解。学校が終わる頃に迎えに行くから待っててね」
鞄にノートやペンケースが入っていることを確認して、玄関の鏡を覗き込んで前髪を少し整える。タイツに包まれた爪先はすでにぺたんこのミュールを履いており、出かけるためにわざわざ履きなおすことはない。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
母親に見送られて、は家を出た。朝日に染められる美しいイタリアの街並みが、彼女の日常を彩っている。
今日も変わらない毎日が始まる。
2011年7月16日