01.少女の朝
起きて、カーテンを開けることから一日を始める。部活には入っているけれど、バドミントン部に朝練はない。だからいつも目覚ましは七時で余裕。パジャマのままスリッパをはいて、くっつきたがる瞼を擦って階段を降りる。いくら寝たって寝足りないから、朝はどうしたって不機嫌だ。おはよう、と声をかけてくる母親に「んー」とやる気のない声を返して、しゃんとしなさいと窘められるのも毎朝のこと。テンションの高い女性キャスターのニュース特集をおぼろに聞いて、出された朝食を黙って食べる。パンの日が多いけど、実はご飯の方が好き。だってお米の方が昼まで腹持ちが良い気がするから。女の子としては微妙だけれど、育ち盛りとしては当然のことを考えて牛乳を飲む。甘いものをエネルギーにしたくて、冷蔵庫からチョコレートを一粒つまんで口の中に放り込む。
顔を洗って歯を磨いて、跳ねてしまった髪をドライヤーで必死に治す頃には、どうにか眠気も消えている。部屋に戻って、クローゼットを開けてパジャマを脱ぐ。ブラジャーをつけて、スパッツを履いて、ブラウスとスカートとリボンとジャケット。教科書はすべて学校においてあるから鞄の中身を変える必要はない。昨日スーパーで買ったシャープペンシルの芯だけ入れて、チャックを閉じる。この時点で、時計の針は七時五十分を指している。始業は八時十五分で、自宅から学校までは歩いて十分ちょっと。風紀委員の遅刻チェックに引っかかるわけにはいかないから、いつも家を出る時間は変わらない。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい。気を付けるのよ」
「はーい」
母親に見送られて、ローファーを履いて玄関のドアを押し開ける。眩しい朝日に少しだけ目を細め、そうしては学校へ向かう。
今日も変わらない毎日が始まる。
2011年7月3日