たきちゃん、たきちゃん。





「多紀ちゃん、あのね」
「うん」
「映画、見たよ。『ナニー・マクフィーの魔法のステッキ』」
「うん」
「面白かったよ。可愛いし、優しかった」
「うん」
「キャラメルポップコーンも甘くてね」
「うん」
「お昼はね、大戸屋で食べたの」
「うん」
「和風マグロソテー、おいしかった」
「うん」
「おやつは、ケーキ屋さんで」
「うん」
「抹茶パフェ、食べて」
「うん」
「お店、とか、いっぱい見て」
「うん」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・映画」
「うん」
「ホラーとか、も、好きなんだっ、て」
「うん」
「コーヒーに、ミルクとお砂糖、入れてた」
「うん」
「細いのに、結構食べるの」
「うん」
「大戸屋の定食、ぺろりって」
「うん」
「甘いものも、好きなんだって」
「うん」
「ティラミスのバニラアイス添えも、ぺろりって」
「うん」
「サッカー雑誌、Number買ってるんだって」
「うん」
「音楽も、割と聞くって」
「うん」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・手も、つながなかったよ」
「うん」
「本当に、話してるだけで」
「うん」
「特別なことは何にも」
「うん」
「でもね、設楽君、変なの」
「うん」
「わたしとまた、あいたいんだって」
「うん」
「どうしよう、たきちゃん」
「・・・・・・」
「どうしよう」
「・・・・・・」
「いやじゃ、ないんだよ、でもやっぱりたきちゃんがいい」
「うん」
「たきちゃんがいい」
「うん」
「たきちゃんがいいよぅ」
「・・・・・・うん」

その夜は二人、手を繋いで眠った。





今はまだ、この腕でおやすみ。
2006年6月16日