明日からまた頑張ろう。だから今日はお疲れさま。





一晩、多紀ちゃんに抱きしめてもらってよく分かった。
わたしやっぱり、多紀ちゃんの力になりたいよ。
いつか必ず、同じピッチに立ってみせるよ。
監督と、して。



夏の都大会、本戦が始まった。
高縄中の第一回戦は、座久中。ワントップの4−5−1フォーメーションを多用する学校。
1.5列目の選手も攻撃に参加するから、どちらかといえば4−3−3に近いかもしれない。
ディフェンスはあんまり強くないから、得点は割合簡単にできると思う。多紀ちゃんのゲームメイクならなおさらのこと。
だからその分、今回は守備に集中しなくちゃ。60分の試合すべてを守備にあてるような、そんな意識で。
臨んだ初戦は、1対0で勝利した。

二回戦も勝てた。三回戦はPK戦にもつれ込んでしまったけれど、勝てた。
都大会は六回勝てば優勝になる。だから、あと三回。
「カザ君の学校、負けちゃったね」
データを集めるため、出来るかぎり他校の試合も見に行ってる。
そのうちの一つ、三回戦で桜上水中は明星中に負けてしまった。
佐藤成樹君が怪我で欠場してたから、ベストメンバーじゃなかったみたいだし。
それで勝ち抜けるほど、都大会は甘くないってことかもしれない。
「今のところ残ってるのは、武蔵森と明星と」
「飛葉と相新、増岡と立川学院」
「でもってうちと備後」
「準々決勝」
「頑張ろう」
次の対戦相手の備後中には、選抜合宿に来てた友安健人くんがいる。
彼は選抜には残れなかったけど、かなりのスキルを持っている。それに何より、体が大きい。
同じポジション同士、正面からマッチアップしたらきっと多紀ちゃんは負けてしまう。
それをどうやって補えばいいのか、考えるのがわたしの仕事。
多紀ちゃんのために、高縄中のために。
一生懸命、考えた、けど。

備後中は、多紀ちゃんにマンマークをつける戦法をとってきた。
しかも一人じゃなくて、二人。ボランチの位置まで下げても追ってくる。試合展開じゃなく、多紀ちゃんを封じることだけに集中した戦法。うちの中心が多紀ちゃんってことをよく分かってる。
サイドを展開させて点はとったけど、多紀ちゃんのパスじゃないから、うちのリズムに持ち込めない。
オフェンスの乱れがディフェンスにも影響する。結局最後は連携ミスを狙われて。
2対1で、負けてしまった。

高縄中、都大会準々決勝敗退。
だけどね、決めたよ。わたし、もっと強くなる。
今度は多紀ちゃんが封じられても勝てるような、そんな戦略を立てれるようになるから。
だからまた、ピッチに立とう。来年の春、そして夏の大会も。
その先もずっとずっと、力になりたいって、そう思う。



多紀ちゃん、わたし、頑張るよ。





中学生サッカーは一試合60分のようです。
2006年5月22日