わたしのドアも開かれてるよ。
選抜に合格した。郭にはまだ及ばないかもしれないけれど、僕はあいつとは違う武器を持ってるってことを再認識した。
例えばそれはカザ君。僕は彼を成長させるパスを出すことが出来る。少しでも前へ、彼の限界を遠くしていくことが出来る。
郭にとっては、僕のカザ君が真田君なんだろう。だけど僕はカザ君以外にも、誰にだって同じパスを出すことが出来る。水野君ほどアーティスティックではないけれど、郭ほど型にはまらない、敵の度肝を抜くパスを。
そして何より、フリーキックでは負けてないことが分かった。これはミッドフィルダーとして大きい。
あいつは僕の目標。超えるべき相手。
帰ってきて選抜に残れたことを告げると、両親はすごく喜んでくれた。
夕飯は僕の好きな料理ばかり。帰ってすぐに出てきたところをみると、きっと不合格でも励ましていたわってくれるつもりだったんだろう。
合宿のことをいろいろ話しながら夕飯を食べ、ゆっくりお風呂に入る。
明日の部活の準備も終わり、いざベッドに入ろうとして苦笑した。気にしないで入ってくればいいのに。
立ち上がって歩み寄り、ドアを開けるとそこにはやっぱりがいた。気にしなくていいんだよ?
僕のドアはいつだって、のために開かれているから。
僕のと色違いのパジャマ。長い髪はドライヤーがかけられてふんわりしてる。これはきっと母さんがかけたんだろうな。は自分のことには無頓着だから。
手を引っ張って、部屋の中に連れ込む。ベッドに誘えば壁際に詰めて丸くなる。
僕とはいつも一緒にいるから何でも共有しているように見られがちだけど、本当は違う。僕もも、自分で決めるべきことは必ず自分で決めるんだ。
僕がロッサを辞めるときもそうだった。あのときは僕がの部屋を訪れて、ずっとずっと一緒にいた。十日間くらい、僕は自分のベッドで寝なかったかもしれない。その間ずっと、は傍にいてくれた。手を繋ぎ続けてくれた。
だから今度は僕の番。
電気を消して、僕もの隣に横になる。
このベッドも二人で寝るには狭くなってきた。それを理由に、をぎゅっと抱き寄せる。
すり寄って、僕の背中に腕を回すが本当に愛しい。
大好きだよ、僕のたった一人の妹。
どんな道を選ぼうとも、僕はの味方だよ。
それだけは忘れないでいて。
次の日の朝、僕の腕の中でが小さくささやいた。
「たきちゃん・・・・・・せんばつ、おめでとう・・・」
おそくなってごめんなさい。
そう呟いたが愛しかった。
選抜合宿編、終了。
2006年5月18日