注目選手ばっかりいるよ。





東京都選抜の合宿に、なぜか女の子がいた。
僕よりも背が低くて、細い小さな女の子。
「彼女は我々コーチ陣の補佐をする杉原だ」
「よろしくお願いします」
監督の言葉に、その子がぺこりと頭を下げる。
うすい茶色の髪に、優しそうな笑顔。それに今の名前って、もしかして・・・・・・?
「ねぇ、杉原君」
隣に座っている杉原君に小さな声で聞いてみると、彼はにこっと笑った。
「うん、僕の双子の妹なんだ」
あぁ、だから雰囲気がそっくりなんだね。



練習場に出てウォームアップを済ませると、すぐに技能テストが始まった。
50メートル走にボールコントロール、それにキックターゲット。
正直、僕はどれも得意ってっわけじゃないし、すごくどきどきしてきてしまう。
「どうしたの、カザ君」
「杉原君・・・・・・ちょっと、緊張しちゃって」
「大丈夫だよ。いつもどおりやればいいんだから」
「・・・・・・うん、そうだよね」
杉原君の言うことはもっともだ。精一杯やって、全力を出さなきゃ。
そう思ってると何となく周囲の視線を感じた気がして。
顔を上げると、ミーティングで紹介された女の子がまっすぐに僕らの方へと歩いてきていた。
「―――多紀ちゃん」

ちゃんって言うんだ。オレンジと白のジャージを着て、手にはバインダーを持っている。
こうして二人が並ぶと、身長差はあるけど本当にそっくりだなぁ。
「カザ君、さっきも言ったけど僕の双子の妹」
杉原君の紹介で、彼女がぺこりと頭を下げた。
「杉原です。よろしく、カザ君」
「あ、風祭将です。よろしく、杉原さん」
でいいよ? それかマネジでも」
にこにこ笑ってる杉原さん―――ちゃんは、やっぱり杉原君とよく似てる。
優しそうで穏やかそうな雰囲気がそっくり。
、記録係?」
「うん、キックターゲット」
「頼むね」
「任せて」
何の話かは分からないけど、二人はお互いに微笑みあって。
そしてちゃんはその笑顔を僕の方にも向けてくれた。
「じゃあ頑張ってね、多紀ちゃん、カザ君」
「・・・・・・ありがとう、ちゃん」
温かい笑顔に、何だか気持ちがほぐれた気がする。



杉原君は、いつもこうやってちゃんに応援してもらってるのかなぁ。
それって少しうらやましい、なんて思ったりした。





あげないよ、カザ君。
2006年5月7日