コンコン・・・・・・コンコン・・・・・・
繰り返し聞こえる音には書類から顔を上げた。
音の発信源は窓の向こう。
見慣れた顔に首を傾げた。
「手塚?」
青春学園中等部生徒会(立海編おまけ)
「何?」
窓ガラス越しに尋ねれば口パクする手塚が見れて。
「『開けろ』? イ・ヤ・ダ」
こちらもハッキリと口を動かして答えれば手塚は眉間にシワを刻み。
「おー分かるものなのね。ツーカーってやつ?」
鍵を外してカラカラと窓を開いた。
そうしたら余計に手塚の眉間にシワが寄って。
「・・・・・・・・・クーラーの使用はまだ禁止中のはずだが」
「先生が調子を見てくれって。快適な環境なら仕事もよりはかどると思わない?」
見れば室内にはコーヒーメーカーにマグカップ、チョコレートの箱が書類に紛れて散乱している。
「それで? 何用?」
先手を取って封じ込める。
「・・・・・・・・・昼食を一緒にどうかと、菊丸が」
「英二が?」
「もしがよければの話だが」
チラッと処理中のプリントに目をやって。
「いーよ。私もお腹へってきてたし。クーラーの入ってる心地よい生徒会室でいかが?」
「だから生徒会室での飲食は禁止されてると・・・・・・」
「えーいーじー! 生徒会室で待ってるよー!」
大声で叫べばオッケーの返事が腕で作った丸で返ってくる。
渋面の手塚に楽しそうに笑って。
「いらっしゃい、生徒会長さん」
結局集まったのは言いだしっぺの菊丸、不二、大石、乾、そして手塚。
中央の大きな机に椅子を持ち寄ってみんなで座る。
「あ、またチョコ食べてる」
「ん。これ新発売のやつ」
「昨日売り出したものだね。味はミルクチョコレートとホワイトチョコ、ビターチョコの三種類あるはず」
「そーそー。乾さすがよく知ってるね」
サンドイッチの封を開けて頷いた。
「は本当にチョコが好きだね」
「うん、かなり好き」
「父さんがアメリカ土産に買ってきたチョコがあるんだ。今度持ってくるよ」
「ホント? ありがと不二。愛してるー」
「僕ものこと愛してるよ」
「俺も俺も! のことめっちゃ愛してるッ!」
「ありがと英二も愛してるよー」
ニコニコしながら会話を交わす三人に大石と乾は楽しそうに笑って、手塚はやはり眉間のシワを深くする。
「安い愛情だな」
「あれ、手塚ってば嫉妬してるの? 僕たちだけに愛されてるから」
「にゃはは手塚焼きもちー!」
「いやぁね。大丈夫、手塚のことも愛してるわよ。もちろん大石と乾のこともね」
カラカラと笑って言っても手塚はさらにシワを増やすだけで。
「ー、仕事終わったら暇? 駅前のアイス食べに行こうよ」
英二のご機嫌な誘いには、済まなそうな顔でちょっとだけ首をかしげて。
「ごめん。今日はデートなの」
「えー! 誰と!? 由美ちゃん? 沙織ちゃん? 信太くん? 義くん? 直さん? ハセケン? 幸作? 兼次郎?」
「俺のデータからすると女子の確率は60%で男子は40%だ」
「ふふふふふ」
嬉しそうにはにかむ姿はとても可愛らしく魅力的で。
性格を知っていても見とれてしまうのは仕方ない。
「今日はね、滅多に会えない人と会えるの」
「ということは双子の兄君かい?」
「残念ハズレ」
大石の質問にも笑いながら答えて。
「この前見つけたイタリアンレストランで夕飯食べるんだー。ふふ、きっと楽しい」
想像して頬をうっすらと赤く染める。
三年目の付き合いだけれど、ハッとして胸を突かれるくらいの美しさがこの少女にはある。
時として見せる顔は何よりも美しくて。
「・・・・・・羨ましいなぁ、その相手」
不二が呟けば菊丸もウンウンと頷いて。
「今度は俺とデートしようね! 絶対だよ!」
「うん。約束ね」
クスクスと笑いを漏らして昼食は進む。
気の合う友人とのランチタイム。
それは日常的な楽しみの一つ。
生徒会長にとっても副会長にとっても。
今日も生徒会は運営中。
2002年8月23日