02.マメーリの賛歌
ゲームが開始されたのが、ちょうど一時頃。現在の時刻は二時五十分。その間ずっと勝ち抜き続けているのはコロネロで、すでに彼に敗れた人数は山のようになっていた。テラスからそれを眺め、童女は楽しそうに笑っている。
「だらしねぇぞ、コラ」
そう言って笑うコロネロの息も大分切れている。頬にはすり傷、半袖からのぞく腕には青あざもいくつか出来ている。アルコバレーノにここまで傷をつけられる輩はそう多くない。負けてはいるけれども、さすがラガツァといったところか。
「ヴィットーレ」
「はい、ドン・ラガツァ」
童女の横で書類を広げ、時に彼女の決定を仰いでいた彼が立ち上がる。黒いスーツの上着を脱ぎ、ネクタイを外す仕草は見惚れるほどに整っている。皮靴のまま彼は芝生に降り立ち、コロネロの前に歩み出た。太陽と月の金色が並ぶ。
「・・・・・・最後はテメーか、コラ」
「ドン・ラガツァのご指名ですから」
「いい度胸だぜ。テメーとは一度やってみたかったしな」
「銃ならともかく、ナイフなら僕に分があります。ドン・ラガツァとのお茶もかかっていますし、勝たせてもらいますよ」
「ハッ! んなことは勝ってからいいな! いくぜ、コラ!」
構えたコロネロが一気に距離を詰める。ヴィットーレは焦ることなく身をかわし、袖口から取り出したナイフで切りつける。白熱する戦いに、敗れたファミリーたちが無責任なエールを飛ばす。その間も童女は、楽しそうに笑っていた。
ねぇ、そこのおまえ。おまえはどっちがかつとおもう?
2006年8月2日