01.ファミリー





ドン・ラガツァがやらなくてはいけないことは、そう多くない。リミニは元々ボンゴレの拠点ほど大きくないし、昔からそこを治めてきたラガツァは市民にも受け入れられている。幼いボスだということで就任当初は心配の声も上がったが、以前と同じように治安が守られているため、今や人々が文句を言うことはなかった。むしろ愛らしい童女ということで、街を歩いたファミリーは、時にボスへの贈り物を手渡されるくらいだ。それくらいラガツァはリミニに浸透し、根付いている。
そんなラガツァを治めている童女の最近の遊び相手は、もっぱらコロネロだ。ファミリーでは新入りに当たる彼だが、その実力は武闘派のラガツァ内でも追々を許さず、さすがはアルコバレーノだと評されている。だからといって距離を置くわけでもなく、むしろ模擬戦を挑んでくるファミリーたちに、コロネロは言葉にはしないけれども喜んでいた。家族みたいだと、初めての居心地良さを感じている。
「ドン! コロネロに勝ったら、今日は俺と一緒にお茶して下さい!」
庭園からかけられた声に、童女はふんわりと小首を傾げる。日差しを遮るパラソルの下で、童女は楽しそうに唇を吊り上げた。
「そうね、それじゃ、こうしましょ。きょうのおちゃは、かちぬきせん。さんじのじてんでかってたひとと、はいっしょにちょこをたべるわ」
「よっしゃ! リベンジはありっすか!?」
「しななければ、なんどでも。だけど、ぼろぼろのひととのおちゃは、いやよ」
「了解しました!」
庭園での手合わせということで、銃は禁止。武器は接近戦用のもののみで、第一はテラスの童女を危ない目には遭わせないこと。
「遠慮なくいくぜ、コロネロ」
「返り打ちにしてやるぜ、コラ」
順番を競いあうギャラリーの中、男と少年が拳を一度合わせあって、そして戯れが始まった。





いいおてんきね。こんなひはたのしいことがありそうね。
2006年8月2日