04.午後のドン





午後、ドン・ラガツァはマフィアとしての仕事を果たす。その際には常に黒のワンピースをまとい、赤銅色の髪を結ぶリボンまでをも黒にする。銃は持たない。持つ必要がないからだ。右にヴィットーレを、左にコロネロを引き連れて、童女は部下の元へと姿を現す。
「おろかものがいるわ。リミニでまやくをうりさばく、よそからきたはぐれもの。ばかね、ラガツァにくるなんて。ほんとうにばか、すくえない」
ふわり、と童女の声が深まる。聞き惚れる調べを帯びて、闇へと手招き引きずり落とす。
「さんしたなんて、みたくもないわ。ちはあかくてもくさいんだもの。かわりにつめをはいできて。そうね、おほしさまのかたちがいいわ。おほしさまに、はいできて」
童女の命令に、男たちが膝を折った。嬉しそうな笑い声が彼らを高める。
「ぞうきはマーケットでばらまいて。がんきゅうはそうね、あかだったらみてみたいわ。あとは・・・・・・うん、いい、すきにしちゃって。じかんはかけず、てきとうにね」
心を丸ごと手のひらに取り、童女は見送り愛を告げる。

「いきなさい、のいとしいこどもたち。かえってきたら、おちゃをしましょう。おみやげにちょこれーと、かってきてね。、たのしみにまってるわ」

二時間かからずに帰ってきた部下たちは、大量の多種多様なチョコレートを抱えてきた。彼らと星の形の爪を肴に、童女は優雅なティータイムを過ごすのだった。





あら、このちょこおいしいわ。ヴィットーレ、もっといっぱいかってきて。
2006年8月1日