05.太陽は沈む
囚われたのだと、言い訳はしない。自ら進んで行ったのだと、はっきりと主張して揺るがない。それは自分のせめてものプライド。触れてきた手にあらがえなかったと、囚人を気取るつもりはない。
「おいで、コロネロ」
マフィアランドを自らの意思で、去って戻らないことに決めた。自分の居場所だと思っていた場所。孤独を知らしめていたこの場所。離れるのはこれ以上ない不安と、心からの安堵をもたらす。一人なのだと思っていたのだ。孤独なのだと思っていた。
「おいで、コロネロ」
ファミリーに勧誘されたことはある。それこそアルコバレーノの自分はステータスで、マフィアランドを訪れるほとんどのボスが自分を勧誘していった。ドン・ボンゴレだってそうだ。彼はアルコバレーノとしてじゃなく、ただの知り合いの子供として誘ってくれたけど、ファミリーに加わることはしなかった。あそこにはすでにリボーンがいたから。あれ以上の存在にはなれないと分かっていたから。それでも尚、傍にいることは出来なかった。それは一人以上の孤独だ。
「おいで、コロネロ」
この童女が自分を欲してくれているのかは分からない。だけど童女は自分の内側を覗き込む。それは理解。言葉にできない醜さの吐露。それでも否定せず笑えるだけの闇が、童女の中にはあるのだろう。それを温かいと思ってしまった時点で、すべての決着はついていた。
「おいで、コロネロ」
「・・・・・・仕方ねーから行ってやるよ、コラ」
「ふふ、こわがらなくてもへいきよ、コロネロ。おまえものいちぶにしてあげる」
握った手がとても小さかったことや、意外にもそれが温かかったことや、不覚にもまた目頭が熱くなったことに知らぬ振りをしようとして、けれどやはりすべて覚えておくことにした。闇が手招きして呼んでいる。太陽と称されたこともある自分が、そこへ飛び込むのはおかしいだろうか。そう考え、コロネロは失笑する。今更そんなもの、気にするべくもない。
しっかりとコロネロは童女の手を握り返した。
もたらされたのは、闇という名の安寧だった。
マフィアランド編終了。
2006年7月29日